2004
 夏山合宿
 in瑞牆山

  十一面岩「ベルジュエール」 蔵元・井土              
記録:井土

 蔵元は修行が不足気味なので、ベルジュエールはやめにして、「錦秋カナトコ」というルートを登ろうかと話していたのだが、取付きに付くとすでに先行パーティーが準備していて、「私ら遅いよ」などといっているので、やっぱりベルジュエールを登ることにした。
 私は純粋にこのルートを登るのは2回目。蔵元は以前大フレークの下から敗退している。
 「翼」を登っている下原・神林パーティーに、16時にキャンプにもどるのは多分無理だろうと告げて、登り始める。8時ごろ。
1P目(蔵元):A1だから問題なしと思いきや、リングボルトの多くは撤去されており、代りにステンレスのハンガーがフリークライミングの間隔で設置されていた。蔵元は長いリーチを生かして苦労しながらもなんとか人工で越えていく。小ハングの下まで。井土フォローするが、荷物を背負ってフリーで登れるような代物ではなかった。
2P目(井土):ハングの下から左に出て、コーナーからカンテに上がる。本来は1P目としてA1で登られていた部分。ここもリングボルトが一部撤去されているが、プロテクションはピトンなど古いままで、フリーで登るのはかなり大変そうだ。A0。
3P目(蔵元):ポケットやフレークを使ってフェイスからスラブを登りテラスへ。短いけどここで切る。蔵元は何やら用事があったようで、テラスの左端の木の影でしゃがんでいた。しばらく休憩。
4P目(蔵元):気を取りなおして、再度蔵元。木登りから凹角。以前登ったときは、上部のコーナーの右のスラブをプアプロで登ったが、蔵元はコーナー左の傾斜のあるフェース側に、ちゃんとプロテクションをとって登っていた。意外なラインどりに感心する。ぐらぐらの木のテラスまで。
5P目(井土):ハンドクラック。やはり10aぐらいはあるように感じる。クラックのすぐ上で切る。蔵元は、悲痛なうめき声を上げて1テンいれていたが、前にきたときより、だいぶ進歩しているとのこと。
6P目(蔵元):一山こえて、大フレークの下でカムでビレイ。
7P目(井土):ルートのハイライト、大フレーク。ここも10aぐらいと感じた。下部はOW登りで、上部はレイバック。レイバックになる瞬間がちょっと悪い、というか恐い。
蔵元は相当苦労していた。フレークに挟まってちっとも動けない様子。大フレークの内側に、苦しそうな息使いがこだましている。彼は、前回来た時にこのピッチを登らずに敗退しているが、そのことを神に感謝していた。
8P目(蔵元):結構難しいチムニー。5.8ぐらいか? 以前2本あったリングボルトのうち、上の一本は撤去されて穴だけになっている。その辺が核心。蔵元は少し上がっては降りてくるというのを何度も繰り返している。そのうちどこに隠し持っていたのかコパーヘッドを出して、ボルト穴に差込んで人工で越えていった。さすがわざ師。登り始める前に私がそれを見つけていたら、「そんなもんは要らん」と置いていかせただろう。ふたたび神に感謝。チムニーを抜け、木の生えた斜面を右よりに登って切る。
9P目(井土):長いピッチであり、ムーブ的にも核心である。途中で切ることも出来る。チムニーを少し登って凹角に入り、斜めのクラックからスラブ。この後のクラックからフレークが核心で、少なくとも10bはあると思う。昔登ったときはお話にならなかったが、今回はフリーで登れた。このピッチの終了点までくると、十一面の頂上が目の前に見える。
蔵元のテンションは数知れず。
10P目(蔵元):頂上の岩のしたのバンドまで歩き。
11P目(井土):少しかぶったようなクラックを登って、頂上へ。このクラックが何か異常に難しくて、テンションしてしまった。何でこれが5.9なんだ?
十一面の頂上みたいな良い場所は、他にあまりないんじゃないだろうか? 蔵元は喜んでいるのか、やけくそなのか分からないが、興奮して雄たけびを上げている。不動沢のスラブ群も良く見えている。14:30頃終了。
取り付きに15:15頃。キャンプには16:30には戻ることが出来た。
下降:最後のピッチの下のバンドを、本峰側にトラバースして岩を回りこみ、後は踏み跡をたどり、最後はスラブから凹角状をクライムダウン(要クライミングシューズ)して、コルへ。トンネルを抜けて、ルンゼを何箇所か短い懸垂をしながら降りる。取りつきに戻るトラバース道を見逃すと、沢まで降りてしまうので注意。