カンマンボロン中央洞穴ルート 井土、服部 |
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| 記録:服部 | |
| 今回は、自分にとって初めての本ちゃんです。その為か、中央洞穴ルートの取り付きに着いたとき、自分自身で"緊張している"と感じました。なんというか、特別に、自分自身がパニックになっているわけではないし、手足に震えが来ている訳ではない、でも、通常状態ではないことは明らか。なんとなく、テスト直前の気分、ちょと嫌な感覚。「何を掴まえてもよい、上に登る事だけを考えよ…」 先輩達からそう云われたのを思い出して、少しでも自分自身の心を落ち着かせようとした。 中央洞穴ルートは、取り付きとしては、右側ルンゼコースと、左側フェイスコースとがあり、(小林、下原、野原)チームが右側ルンゼコースに取り付き、(井土、服部)チームが左側フェイスコースに取り付く。後から聞いた話だと、右側ルンゼコースは、降雨後には泥が抜かれんでおり、不快だとか。 1ピッチ目 井土さんが設置したカムを回収しながら、ボコボコした凹凸があるフェイスを登る。 二つ目のカムだったと思う、そのカムを回収する際に左側に体勢がづれたので、その体勢を戻そうとして足を滑らせて、テンション(僕は何をやっているんだと自問する)。 2ピッチ目 人工を交えて右側に水壁をトラバース。その壁の途中で井土さんがハンギングビレーをしていた。なんかその姿が格好よかった。しかし、自分がビレーしてみると、結構苦しい体勢なので、あまり心地よいものではないことが分かった。このとき、下原さん、野原さんを襲う落石を目撃、二人に石は当たらなかったようだが、見ているだけでも、血の気が引く。 3ピッチ目 右上しながら人工でトラバースして核心の洞穴内に入り、(小林、下原、野原)チームに合流する。洞穴の出口がはっきり見える。でも、鳥の糞が一杯だ。 4ピッチ目 洞穴内を右上ぎみにトラバース。途中、あぶみをかけたピンが岩から抜け、テンション。その後、小林さん、下原さんなどからお助けの指示を受け、気を取り直して、抜ける。恐〜ぇ。 5ピッチ目 なんか心地が悪い、岩の隙間が始点。最初は、フェイスで、その後、人工でトラバース、そして、チムニーに移る。人工のトラバースからチムニーに移るところが、恐かった。高度感が抜群で体が硬直し、泣きたくなる。その後、何とか脱出、その後、苦しく息を吐きながら終了点に到着。井土さんに、「水を飲ませてください」と懇願。干からびてしまったのだ。僕にとっては、二つ目の核心。 6ピッチ目 草付きのルンゼを歩いて、ピークに到着。井土さんと握手。このとき、至福の喜びを感じて、興奮気味に井土さんに感謝する。その後、(小林、下原、野原)チームを待って3回の懸垂下降により下降。 正直なところ、クライミングの途中、僕の記憶回路が停止し、それ以降、クライミング中の記憶内容が定かではないが、その他の記憶内容をまとめると、 (イ)クライミング中、干からびてしまって、異常に喉が乾いたこと。 (ロ)やっぱり落石は恐い、落石が岩に当たる音が聞こえるだけで、血の気が引く。 (ハ)キャンプサイトでの夕食前、疲れが頂点に達し、またクライミング終了の安堵感か、 はたまた、自分の無様なクライミングに落胆してか、寡黙になったこと(黙りこくり、肩を落とし、手足の傷から血を滲ませ…そんな自分の姿が"落ち武者"に見えたのかな)。 (ニ)でも、やっぱり、ビールが美味かったこと。 |