神ちゃんの 
北米日記2007 その2
 

インディアンクリーク編


神林 裕


クラックがいっぱい!!
11/1
朝5時起床。荷物をたたんで即出発。5時間ほどでLas Vegasに到着。Las Veagas大通りを観光。CASINOがたくさんで建物はまるでおもちゃのよう。コーヒー飲みながら窓越しに人々の群をぼんやり眺めて時間つぶし。

11/2
今日もLas Vegas観光。Casinoやショッピングモール等をひやかす。夕食後ビール2本。これでレストは終わり。明日からまた気入れるでー。

11/3
Las Vegas空港で13時ごろH内さんと合流。宜しくお願いします!日本で1回会っただけで一緒に3週間のクライミングトリップをすることになるとは不思議な縁。
H内さんの荷物1個が飛行機に載っていなくて、それが到着するまで待たされる。空港内で通用する飲食券(36ドル分)をくれたので、全額使ってスターバックスで買い物する。1度にスタバでこんなに買い物することは、この先一生無いと思う。荷物を受け取って19時過ぎにようやくLas Vegasを脱出。22時半ごろ州境近くのmotel泊。

11/4
7時起床。8時過ぎにmotelを出発し正午にMoab到着。食料を買ってIndian Creekに出発。谷に入ると素晴らしいクラックが次々と現れて興奮する。想像していたよりずっと明るく開けた渓谷。
Bridger Jackキャンプ場にテントを張ってから、Donnelly CanyonのChocolate Corner(5.9)で初めての砂岩を体験。岩はそれなりに硬いけど、花崗岩よりもはるかに皮に優しい。これなら基本的にテーピング無しで登れそう。スパゲッティとビール2本で夕食。夜空に天の川がはっきり見える。明日からのクラックにわくわくする。

11/5
7時過ぎに起きて散歩。朝焼けに映えるクラック群と草原は最高。



ギアをあらためて確認するとキャメ1サイズ以外は6〜8セットある。H内さんに感謝!
Supercrack Buttressに行く。人気エリアらしくクライマーがたくさんいる。空いているクラックを探してTwin Crack(5.9)と3AM(5.10)をH内さんのあとにFL。3AMはひたすら同じムーブが続く。同じ筋肉ばかり使うので疲れる。だけど素晴らしいクラック。次にBad-Rad Duality Crack(5.10+)をOS。


 H内さん on Bad Rad Duality Crack(5.10+)

カムの選択を誤り、間引きとエレベータを繰り返す。厳しい出だしから立体的な形状のハング越えがありこれも素晴らしいクラック。
クライミングが終わると既に日は沈み、空は赤から青を経て黒へとグラデーションが美しい。そしてそれを岩塔群がシルエットとなってするどく切り取っている。テントをたたんで少し離れたCottonwoodキャンプ場に移動。ここでH内さんの知り合いのK原さんとJ子さんに初対面。

11/6
7時過ぎ起床して散歩。コーヒーを入れる。昨日よりおいしくできた。今日もSupercrack Buttressに行く。Super Crack(5.10)をOS。出だしが意外と悪かった。自分の手には微妙に広いハンドクラックがずっと続く。長い。


 H内さん on Super Crack(5.10)

The Wave(5.10+)をやるが核心のレイバックで落ちて1テン。ハング下でばっちりカムを決めたのだから突っ込めば良かったのに・・・少し休んでRP。H内さんのBad-Rad Duality Crackのトライが終わると既に夕闇。4人で夕食のあと焚き火。

11/7
7時半起床して散歩。今日はレスト。プリムスコンロの調子が悪かったのでジェット部分を掃除する。Moabでシャワーと買い物。スーパーの駐車場で日本人の女性クライマーに声をかけられ、彼女をIndian Creekまで乗せていくことになる。(キャンプ場は別)1人でクライミングトリップ中とのこと。非常にたくましい人だった。4人で夕食。K原さんとJ子さんはカナダでガイドの仕事をしている。先の将来が全く白紙の現在、2人のはなしは私にとって一聴一考の価値があると思う。

11/8
7時半起床して散歩。今日はScarfaceに行く。まずエリア右端に行ったが、かなり遠くて足元もルーズだった。Wavy Gravy(5.10-)をOS。うねった外観が美しいクラック。次にTwitch!(5.11)にトライ。出だしはどっ被り。ここで何度も落ちたあとRP。


 KAMBA on Twitch!(5.11)

それからMantel Illness(5.11)をさわる。途中までは難しくなかったが核心になって急に・・、ルート名が全てを物語っています。夕食はトルティーヤ。ホットサルサが辛くて美味しかった。

11/9
7時過ぎ起床。くもり。散歩のついでに焚き木集め。今日もScarfaceに行く。昨日行けなかった左端のエリアへ。エリア名にもなっているScarface(5.11-)はキレイな壁のなかのキレイなクラック。抜けそうなシンハンドをだましてOS。


 K原さん on Scarface(5.11-)

すぐ近くのSicillian(5.11)は厳しいオフフィンガー。しかも形状が複雑で短いクラックなのに2回も体を切り返す必要があった。オフフィンガーはもっと鍛える必要があるなー。


正面奥の岩塔がNorth Six Shooter、その左がSouth Six Shooter、手前左がBridger Jack Mesa。それぞれ魅力的な数ピッチのマルチがあります。今度来たら登りたい!


11/10
曇りのち快晴。週末なのでキャンプ場に人が増えた。今日はレスト。正午過ぎまでだらだらしてからMoabに行く。19時半ごろキャンプ場に戻ってくる。

この日、MOABでシャワーを浴びているとき、デジカメの電池を充電していたら、それをすっかり忘れて帰ってしまいました。4日後に戻ったときにはとき既に遅し。なくなっていました。ので、これ以降は写真がありません。
あーあ(使い捨てカメラで撮った写真はあるんですけどスキャナー無いのでPCにとりこめません・・・)

K原さんのブログにはインディアンクリーク(レッドロックスも写真含)のキレイな写真がたくさん載ってます。アドレスはこちら。
http://taointheworld.blogspot.com/2007_12_01_archive.html

11/11
7時半起床。今日は冷え込んだ。Cat Wallに行く。ウォームアップできそうなクラックには先客がいそうだったので、いきなりJohnny Cat(5.11+)をさわる。これが間違いのもと。どはまりする。比較的かかりの良いオフフィンガーだけど、足はフットホールドが無くクラックにねじ込むこともできない。K原さんはKing Cat(5.11+)、非常に見映えのするクラック、にトライしてました。最後のハング越えが厳しそうです。
キャンプ場に戻ると、テントサイトの近くで焚き火してるクライマーがいたので話しかけてみる。Johnny Catは5.12-でもいいぐらい難しいと言われた。Way Rambo(5.12-)というクラックが面白いと教えてもらう。Way Ramboはエリア名にもなっていて看板ルートらしい。
夕食後に焚き火していると、ふらりとアメリカ人青年がやってきた。短期の仕事とクライミングトリップを6年間繰り返しているらしい。この人からもWay Ramboをすすめられる。寝るときにすこしだけ雨がパラついた。

11/12
7時半起床。今日はWay Ramboに行くことにする。テントサイトから歩いて30分ほどで到着。とりあえずWay Nutter(5.9)をOS。次に登ったThe Monk(5.10)は終了点直下が厳しいフィンガー。それをこなしてもクリップ体勢がつくれず屈辱のチェーン鷲?み。岩のもろさを考慮したのだろうと思うけど、終了点の位置はイマイチだと思う。負け惜しみ?H内さんが登ったBlue Sun(5.10)のほうは見映えのするクラック。内容も素晴らしかったらしい。
そしていよいよWay Rambo(5.12-)にトライ。簡単なアプローチをこなして真下からクラックを見上げると、思わず声が出た。きれいな壁にはしる美しすぎるクラック。グレードとか関係なくこれは登りたい!と思った。核心まではノーテン。核心は難しいけどJohnny Catよりこなしやすい気がする。外観と内容でまさに5ツ星クラック!興奮しながらキャンプ場に戻る。

11/13
7時起床。H内さんと相談して今日はプチレスト。午前中は休んで、午後からWay Ramboに行くことにする。シュラフを干したりのんびりしてから12時半にキャンプ場発。
Rochambeau(5.9)でウォーミングアップ。クラック以外にもホールドがたくさんあって、インディアンクリークでは珍しいクラックのように感じた。そしてWay Ramboに再トライ。1回目は核心部でフォール。まだムーブを固めきれていなかった。H内さんはHost(5.11-)にトライ。いかにもくせのありそうなクラックで、ビレイしながら見ていてもかなり変則的なムーブを強いられていた。
17時過ぎの薄暗くなる中をWay Ramboに再トライ。核心手前でカムを決めて、あとは終了点まで一気に登ってRP!!自身初の12クラック。夕食時にみんなに祝ってもらう。焚き火しているとうしろでガサガサと音がする。こちらが物音を立てると牛が走って逃げていった。



11/14
7時起床。テントを撤収しMoabへ。H内さんに中華料理の食べ放題をおごってもらう。満腹。それからCastleton Valleyに移動。暗くてキャンプ地を探してうろうろする。K原さんたちもきているはずだけど見つけられない。とりあえず、キャンプ地らしきところにテントを張って泊まる。

11/15
6時40分起床。非常に寒い。明るいなかキャンプ地を探すとあっさり見つかる。丘を1つ間違えていた。K原さんたちのテントがあったが、2人は既に登りにいった後だった。私たちの当初の予定ではCastleton TowerのとなりのThe Rectoryを登るはずだったけど、Castleton Towerのあまりに素晴らしい屹立ぶりに、2人ともとりあえずあそこの頂上に立ちたいということで意見が一致。
10時過ぎにCastleton Towerに向けて出発。良く踏まれたトレールを辿って1時間ほどで基部に到着。North ChimneyルートにはK原さん−J子さん、North Faceルートには別パーティが取り付いている。私たちは、北米50選にも選ばれているKor-Ingallsルートを登ることにした。基本的に砂岩だが、カルサイトと呼ばれる白い岩も多く混じっていて、これが非常に滑りやすい。3P目(5.9+)の核心部ではカルサイトに対して足を突っ張ってレイバックしなければならず緊張した。頂上は広くてセルフビレイを外してのんびりできた。素晴らしい展望。North FaceのパーティにThe RectoryのFine Jadeを勧められる。親切な人たちで懸垂のロープを使わせてくれた。K原さん、J子さんとは最後の夜。テキーラ1本が一夜で空いた。

11/16
7時50分起床。飲みすぎたせいで軽い二日酔い。H内さんは右肩が痛くてあげられないというので、今日はレストにする。朝食後、K内さんたちと記念撮影して別れる。
陽だまりの中でのんびりする。Moab在住のカメラマンという人が話しかけてきた。昔は相当登っていたクライマーらしい。アラスカで星野道夫に会ったことがあるという。双眼鏡を貸してもらうとFine Jadeに2パーティ見えた。

11/17
H内さんの肩が良くならないのでインディアンクリークに戻ることにする。昼過ぎにSupercrack Buttressに行く。H内さんにはビレーヤーとして付き合っていただきました。Gorilla(5.10)をOS。Coyne Crack(5.11+)は難しい!テンションだらけで上に抜ける。Coyne Crackは順番待ちになったので、隣のFingers in a Lightsocket(5.11+)をさわる。レイバック主体でプロテクションは悪くない。Coyne Crackより易しく感じる。

11/18
7時半起床。H内さんの肩は回復しない。午前中は新エリアであるCritic's Choiceを偵察する。看板ルートのCritic's Choice(5.12)やBelly Full of Bad Berries(5.13-)等を見学。
テントに戻って一休みしてから再びSupercrack Buttressへ行く。日曜なので混んでいる。アップなしでFingers in a LightsocketにトライしてRP。登りやすい5.11+だと思う。Coyne Crackは順番待ちだったので、Binge and Purge(5.11)にトライ。上部のOWムーブに苦しめられながらもなんとかOS。力を振り絞ったクライミングだった。キャメ6が欲しかった!
休憩しているとCoyne Crackに誰もいなくなったのでトライ。下部で落ちるがムーブはある程度固めることができた。夕闇間近の17時過ぎに再トライしてRP!!うれしかった。
H内さんの肩が直らないので、多分今日がインディアンクリーク最後の夜。とてもさびしい。クラックや夕焼けや夜空を記憶に刻む。

11/19
7時過ぎ。最後の朝を惜しみながら散歩。インディアンクリーク、必ず戻ってくるぞ!Moabでシャワーを浴びてからLas Vegasに向けてひた走る。目指すはLas VegasのすぐとなりのRed Rocks。
Las Vegasに近づくと2人とも驚きの声を上げる。Las Vegasの夜景はまるで光の海だった。美しくも恐ろしい。キャンプ場には迷わず到着できた。K原さんたちもいるはずだなー、と探すとテントが見つかった。寝ているようなのでそっとして、離れたところにテントを張る。



                    ・・・・・・・その3につづく・・・・・・