東海山岳会 海外山行


延び延びになっていた新婚旅行でしたが今回ようやく行くことができました。
しかも憧れの南フランス!
10月ということで天気が心配でしたがおかげさまで天候にも恵まれプロヴァンスの自然に囲まれクライミングと歴史ある町並みを堪能してきました。
では早速ご報告を!


9月29日
嫁さんの実家から名古屋空港は車で約5分!
早朝の便でも慌てなくてもいいのがありがたい。
嫁さんのお母さんに見送られながら国内線でまずは成田へ。
何回も海外に行っているが成田は初めて。馬鹿でかい空港ロビーで必要そうなものを買出し先にユーロ両替を済ませ出国手続き。

パリのシャルルドゴール行きは11時20分発。
これから長い空旅の始まりだ。
6時間位までは時間を潰せるがその後は結構苦痛…馳星周の長編小説も読み終えてしまいその後は不貞寝する。

12時間後、現地時間で夕方の4時半頃パリのシャルルドゴールへ到着。
ここからはパリを横断して明日マルセイユへ発つオルリー空港側のホテルへ向かう。
嫁さんはドゴール空港内で換金したがレートが悪かったらしくかなりショックを受けていた。
オルリー行きのバスで揺られること1時間、空港からホテルは歩いて行ける距離だったが30キロ近い、しかも背負い心地最悪のノースのダッフルバックでは即効で腰痛…
チェックイン済ませ落ち着いてから食事を取ったが流石に長旅の疲れから即効で寝てしまった。


9月30日
朝起きるとまだ外は暗い。この時期のフランスの夜明けは8時前位らしい。
取りあえず朝食と取るとバスにのり空港へ向かうが間違えて南ゲート行きのに乗ってしまい500メートルほど歩いて西ゲートへ移動。
のんびりしていた為結構出発ギリギリになってしまった。
エールフランスのマルセイユ行きに乗り込む。
いよいよ南仏だ。
1時間ほどでプロヴァンス空港に到着。
空は快晴で暑い位。早速空港外のHertでレンタカーの手続きをする。
車はルノーの1,6リッター。


ディーゼル車で燃費はいいのですが慣れな
いマニュアルと左ハンドルでケッコ大変で
した。
一路滞在地のボニューへ向かうが慣れないマニュアル車で左ハンドル…しかも現地の車はみんな飛ばすの何の!
すぐに呷られてこっちにゃエライ迷惑だ。
嫁さんはオイラの慣れない運転に仕切りに悲鳴をあげていた。
高速のA7をCavarionで降りAPT方面へ向かう。
騒がしかった街中から一気に田舎の風景が広がる。

昼過ぎボニューに到着。なんとも小さな町だが古い建物と教会が南仏の歴史を感じさせ落ち着けそうだ。取り合えず車を駐車しOffece de Turisemの受付へ。
嫁さんは久々のフランス語で緊張してるみたいだったがちゃんと通じてるらしく受付のねーちゃんも親切に対応してくれた。

普段は何しても亀のようにノンビリ屋の嫁さんだがこういう場所では非常に助かる。
さすが仏文出身!今更ながら尊敬してしまった。

しかし予め目星付けていたマダムネグランさんのアパートはどこも埋まってるらしく駄目…
他にお勧めの宿をあたってみるが不在みたいでどこも駄目。

アパート(GITE)は昔のレンガ小屋をそのま
ま改装したような作り。
取り合えずもっかいツーリズムに戻って聞いてみるとネグランさんの息子さんがやっているアパートなら開いているらしい。

直接交渉ということでムッシュネグランの職場へ向かうと奥さんが来るまで待てとのこと(旦那は自動車整備をやっていてどうやらアパート経営は嫁さんに任せているらしい)

夕方頃赤ん坊を連れた女性がやってきた。
ムッシュネグランの嫁さんのようだ。

挨拶をして取り合えずアパートに連れて行ってもらう。
ともかくこれで宿は落ち着いた。今日は疲れたので町のピザ屋に食べに行くことに(嫁さんの提案で外食は1日おきとなった)
注文したピザとサラダ デニソワーズ(ニース風サラダ)は凄いボリュームでおいしかったが昼頃から腹の調子が悪く下痢気味のオイラはあまり食べれず残念…


10月1日
こんなに朝が弱い人がいるのか?という位寝起きが悪い嫁さんを無理やり起こして朝食を買出しに町のパン屋へ。
朝から怪訝な顔をしていた嫁さんも店に入ると途端にご機嫌に…

焼きたてのバゲットとワッサンはなかなか日本では味わえないがここでは日常だ。
隣の肉屋で出来合いの鶏肉料理とチーズも付け足してアパートに戻る。

金曜の朝は広場で朝市が開かれる
朝食を済ますと先に洗濯を始めたがこれがくせもので何と脱水終わるまで1時間45分もかかる。
結局岩場に出かけるのは昼前になってしまった。(次の日から洗濯は夜やることにしたがそれでもノンビリ屋の嫁さんに合わせていたのでどっちにしろ毎日岩場に行くのは昼前位になっていたが…)

Buouxはクライマーなら誰しも耳にしたことがある西洋のフリークライミングの草分け的存在の岩場である。ボニューから車で15分ほど走ると高さ100メートルから200メートルの、幅1キロ近くある渓谷の岩壁である。

BUOUXの中心エリアを望む。
岩は被ったトコもあるが全体としては垂壁、ポケットのような穴をホールドにして登るルートが多い。

どのルートも漏れなくスラブチックな部分があり足の置き方やスメアリングが要求されるのでアルパイン向きかと思いきや部分的にポケットホールドでの引きつけ、つまりパワークライミングも要求されるのでオールラウンドに登れるクライマーでなければグレード的には辛く感じる。

壁には30以上のエリアがあり総計で数百本のルートがある。
最高グレードは8C(5,14b)
かの有名なLa rose et le vampire(8b)などもここにある。

駐車場に着くと赤茶けたその岩場にしばし見とれていたが取り合えず適当にエリアを選んでみることに…
まず壁の中心あたりにあるLa Fakirへ。
高さは100メートル以上ありそうで上まで抜ける4P程のルートもある。
6b+(5,10d)辺りでアップするがいきなりのスラブでかなり必死。
それにしても長い…
どのルートも30メートルかそれ以上ありオイラの60メートルロープでも足りない位だ。
しかも暑い…、もう10月なので寒いかと思いダウンまで持ってきたが裸で十分、これでは日中日の当たるエリアはぬめって厳しい程だ。

嫁さんは看板ルートのLa Fakir6a+(5,10b)
その後オイラは隣の6c(11a)トライするが途中蜂に刺されて強制下降。
ポイズンリムーバーで傷口から毒を抜くが腫れてしまうのは必死そうだ。
去年のヨセミテでもそうだがそうやら海外に行ったら蜂に刺されるのが定番になるらしい。
まあ今日のところは登るのに支障なさそうなので同ルートを登り直す。
最後に更に隣の7a+(12a)Ici Londresにトライ。確信は被ったハングを超える一手だけだが細かいホールドと悪いバランスムーブ。チョーク跡が残っていたのであわやオンサイト出来そうだったが最後のポケットへのデットムーブが決まるも指が外れフォール(泣)
この日は終了。
帰り際APTのスーパーに寄り野菜と肉、その他調味料、ワインを買いだすとアパートに戻り早速料理開始!

スーパーには南仏の自然食材が一杯。

テキパキと野菜を刻み、パスタを茹で、肉を焼く。
嫁さんは「普段自宅では毎晩夕食料理作ってるからこういう時位食事作ってくれ!と言い出すかと思ったケドフランスに来てまで嬉しそうに料理作る人とは思わんかった…」
と半ば有難そうに呟いていた。



Ici Londres7a+の核心部
10月2日
この日はまずFakirで昨日の課題を片付ける。
気合入れたら今度は何とか止まった。ホント一手だけの12aという感じ…
嫁さんとLa Fakirを一緒に登り、午後は陰っているTCFエリアに移動。
看板ルートのTCF 7a(11d)に取り付く。
核心でパンプアップしてフォール。
なかなかオンサイト出来ない。思い切りが足りないのか?…
気を取り直して2撃。
このグレードでは一番人気だけあってパワフルかつスタテックで内容はピカ一だった。

TCFエリアは午後から陰るせいか多くのクライマーが来ていたがロケーションも最高で隣にはマルチの多いLa coroisette,高難度が集まる前傾壁Les deversなどが存在感を出していかに
もBuouxいるという印象が得られる。

丁度お手ごろのルートも隣のエリアも含め多いのでここに通うことにした。

帰宅後夕食を取り、今日は疲れたのでバスタブに湯を張って風呂にしたが(後で気づいたが)ここのお湯はボイラー式。つまり一定量お湯を使うと数時間経ってからでないとボイラーの湯が沸かないため水しか出ない。
オイラが風呂から出た後は既にお湯は使い切ってしまい嫁さん入る頃には水しか出なかった。

当然「あんたがあんなにお湯使うからよー!(怒)」
とそれからどうなったかは思い出したくないが…

ともかく次に日からはお互いシャワーのみにすることにした。

10月3日
今日はレスト。
朝はノンビリして午後からVolxの岩場を下見に行くことにした。
昼頃アパートを出発してAPTを経由してMAMEの町まで。
日曜だけあってどこも空いている。(フランスでは日曜はサービス業も殆どお休みでスーパーもスタンドもやっていない。)

APTを出ること1時間、MAMEの町から南に下りVolxの町に着く。
少々迷ったが岩場が見える郊外をうろつくとクライミングサイトの看板を発見。

フランスの国道にはよく簡易の休憩所
があり店が広げられる。
駐車場は日曜だけあってほぼ満車だった。
歩いて5分、Volx La Grotteに到着。

人気ルートには多くのクライマーが取り付いている。
目星付けていたCharel de goal 7b(12b)、Hueco 7b+(12c)も凄い被っていておもしろそうだ。
一通り観察すると夕焼けを正面に受けながらMANEの町で土産を買って帰路についた。


10月4日
TCFエリアへ。まだ昼前だけあって日が当たって暑い。
左端の6Cでアップすると壁中間部にあるLa cage aux orchidees 7bに取り付く。
下の部分は変化あっておもしろいが中間部の細かい部分のムーブがどうしてもこなせない。
結局2回トライするも駄目。

La juif artchitecteの終了点
何とか上まで抜けたベテランクライマーっぽい父ちゃんクライマー(この国では家族で岩場にくるクライマーが多い)も「これが7Bだって?悪いジョークだ…」とぼやいていたが確かに納得いかない。

しかももっかいこの父ちゃんクライマーにヌンチャクを回収して貰うことになりエラい申しわけない気分になった。
日の終わりに右端のLa juif artchitecte 6Cを嫁さんとつるべで登って気分転換。
高度感抜群で楽しいルートだったがロープが終了点にひっかかり(ヨーロッパの岩場の終了点は殆ど固定式の小さなリングアンカーで当然ゲートがない為、結び代えが必要)もっかい登り返す羽目に…
非常に疲れた。


10月5日
朝方いつものようにパンと肉を買い出して町を出ようとすると町入り口のロータリーで日本人らしき男女とばったり。
こっちに来て初めての日本人だ。同じ会社仲間同士で旅行に来ているようだがやはりこんな田舎町で日本人に会うと嬉しい。明日はレストの予定なので一緒に観光する約束をして別れた。

朝食を取り再びTCFへ。アップはLe zoo des robots 6c。確かにロボットみたいな動きで面白いが下は結構パワフル。腕が張ってしまった。
お次はDresden 7a+。中間部のムーブでちと苦戦するも2回目のトライでは結構余裕でR.P出来た。現地のクライマーが[ALLER!(ガンバ)ALLER!」と応援してくれたのが嬉しかった。

自炊派にとって南仏の食材はホント感激。

この日は結構早めに上がりAPTで買出しをすると今朝方肉屋で買った豚肉をステーキに!
ベシャメルソースのパスタとワインも加えて豪勢な夕食。


10月6日
レスト。
朝10時にロータリーで昨日出会ったHさん達と待ち合わせ。ついでに日本へ送る土産類をまとめる為,
郵便局でAIREXPOTR(定形外郵送用パック)を購入。最終日に宿泊予定のパリのホテルにFAXを送ってHさんたちをBUOUXに連れて行く。


BUOUXの村にて
一般の人達にとって岩場はかなり意外な場所だろう。
昼位までTCFエリアで寛いでBuouxの村でランチを取る。
Hさんは乗馬が趣味らしく広場の馬とひたすら喋っていた。(本人は馬と会話が出来ると思っているらしい)

その後、木村さんお勧めのボークリューズの泉に行くことにした。APTまで出てそこから西へ約30分。ボークリューズはこの辺りではかなりの観光地で土産屋などで賑わっている。
博物館らしきものを見物した後、整備された遊歩道を川沿いに歩くとやがて巨大な壁にぶつかる。高さは200メートルほどあり登攀意欲を刺激されるがよくよく見ると壁はボロボロでとても登れそうにない。壁の取り付きには深い洞穴がありその奥が泉になっている。
歴史的にも色々な逸話が残る名所で泉も澄んで深そうだが深度用の鉄板などが目に入りちょっと幻滅。

車に戻る頃には雨が降り始めた。明日の天気がちょっと心配。
夕食はHさん達とピザ屋で取ったがこの日は非常に混んでいて食事が来るのにかなり待たされた。酒があればまあ気にならないのだがアルコール抜きで食事に何時間もかけるのはかなり辛い。


10月7日
天気が気になったが朝起きてみると曇り空。何とかなりそうなので今日はVOLXへ。
下見していたお陰で1時間ほどで到着。
空はすっかり晴れ渡って暑い位。

早速手始めにHot Spot 6cに取り付く。ガバガバで楽しいが日差しが強く登っていると流石に暑い。日陰になるまで待った方が良さそうだ。


VOLX全景
次はCharles de gaol 7b(12b)
下部の傾斜は鬼岩のハイカラと同じ位だがガバガバで一気に核心まで詰める。
傾斜が緩くなる辺りでヒールフックをかけて乗り越すのだその後のホールドが甘く、岩の至るトコにチョークが付いていてどれが正解ホールドなのか分からず初回のトライはダメ。
ムーブが分かると後は気合で2撃、12bにしては易しめで鬼岩のFIARSTと同じ位。

Charles de gaol 7b(12b)
続いてHueco 7b+にトライ。
こちらも下部は凄い傾斜で出だしからヒールフックの連続だが7b+だけあって部分的にホールドが遠かったり甘かったで苦戦。中間部に穴がありそこでニーバーを決めて休めるがその後甘いホールドが一箇所、更に上部のコルネ越えがかなり堪える。

初回のトライでムーブは全部繋がったが流石に今日はもう満足。
日が暮れる前に岐路に着いた。

夕食はトマトと野菜のパスタ、日本から持って来た中華の元で作った肉野菜炒め。ワインとも合ってかなりトレボン!おまけに汗を大量にかいたのでビールが旨い!しあわせー

10月8日
今日もVOLXへ。天気は快晴で昨日より暑い。アップ後Huecoに取り付くもちょっと暑すぎてダメ。
取り合えず日が陰るまで待つ。

ここの石灰岩はタイより威容に立体的で至る所に巨大な穴が開いており、半分位鳩の住処になっている。Huecoのニーバーポイントにも巣があったのか休憩場所なのか絶えず鳩が出入りしていた。登っている時に糞落とされないといいけど…

Hot Spot 6c

日が陰る頃になり通算3回目のトライ。気を落ち着けていったせいか一気に上部のコルネまで行けた。これはいけるかも…と思いコルネを掴むもグリップポイントはもうちょっと上だった。
無念のフォール…。殆ど核心は終わっていただけにメチャショックだった。

もう1本だそうかと思ったがクライミイングも6日目で流石疲れも溜まっている。それにこの傾斜をそう何本も出すのはちょっと無理そう…。

明日はマルセイユだしまあ又次回のお楽しみということで(次回が何年後になるか分からないが…)ブルーな気分を引きずりながら岩場を後にした。


10月9日
今日はマルセイユに観光。11時前出発。AIX AN PROVANCE経由でマルセイユ方面へ。
途中迷いながらロータリー(フランスでは交差点が少なく交差、分岐点は殆どロータリーになっている)をグルグルして昼過ぎにエクスに到着。

嫁さんはこの街でお土産にCalissons de,auxを買う予定だったらしいが初めての街でどこにそれが売っているのかも全く分らない。オイラは基本的に街が苦手、しかも慣れない運転で長時間ここにいるのもおっくうなので取り合えずマルセイユに向かう。
2時過ぎマルセイユに到着。フランスでも有数な都市だけあって凄い人ごみと車で迷いながらも観光地の旧港に着く。
港前はホテルと土産屋、カフェが立ち並ぶ。古来より貿易港として栄えたマルセイユだが今は観光都市としても賑わっている。地下駐車場で車を停めしばらく街をうろつく。

CALANQUESのトポを手に入れるとカフェで一服してCALANQUESへ向かう。といってもエリアが広すぎるので取り合えず代表的なGUROTTE DE LOURSを見に行ってみることにする。

マルセイユ旧港街にて
マルセイユから南に30分ほどでルミニー大学へ。駐車場らしき場所に車を停めたが遊歩道は丘の手前からかなり続いている。1時間ほど遊歩道を歩くがGUROTTEはまだ見えない。持って来た岩雪のコピー写真と同じ岩が道のずーっと向こうに見えるので遊歩道沿いに行けばいつか辿りつけるのだろうが明らかに駐車場所が違う。
どうやら別駐車場に停めてしまったらしい。
もう日暮れが近いのでボニューに戻ることにする。

夕暮れでごった返したマルセイユ市内の渋滞を抜け高速に乗る頃には既に真っ暗。
CAVALLION分岐のロータリーにあるマクドナルドで夕食を取ったがどこの国でも外食産業は若者達の主食らしく凄い行列だった。

結局アパートに戻ったのは午後10時。丸一日の運転でヘロヘロになって全然レストにならなかった。当初CALANQUESにも登りに行く予定だったが当然そんな気は失せてしまった。


10月10日
疲れが取れないせいか朝起きてもしんどい…。クライミングは午後からにする。
朝土産屋でブラブラして昼は近くのレストランに取りに行く。
フレンチのランチに嫁さんはご機嫌。

Piler des fourmis 2P目より
午後からBUOUXへ。
お手ごろマルチのPiler des fourmisに取り付く。天気は快晴ながらも風が強い。3Pまで登り最後の7aのピッチをさあ登るか!と気合入れた所で登っている途中から気になっていたスズメ蜂が壁の上部に群がっている。これ以上刺されたらマジやばいので無念の下降。1P懸垂で隣のエリアまで降り歩いて取り付きまで戻った。

気合を挫かれたので気を取り直してReveエリアに。
ここには有名なReve de papillon 8aなどがあるがすぐ右脇にある岩頭のルートが人気らしい。

真ん中のRose des sable 7aに取り付く。30メートル以上で渓谷の上まで抜けれる登り応えあるルートだが既にモチが切れていて途中でテンションいれてしまった。…情けなし。
帰って自棄酒でもするかと思いきやそういえばワインは切れていた。
買おうにも今日は日曜でどこも休み。

帰り際上のピザ屋に立ち寄ると無理にお願いして地元のワインをボトルに詰めてもらった。
取り合えず夜の楽しみは無くならなくてすんだ。
明日はクライミング最終日。もうちょっと頑張れるといいケド。


10月11日
今日はクライミングの最終日。生憎空は曇っていて雨も降りそうだ。

昨日と同じくReveへ。
月曜なのに何故か岩場は込み合っており親子連れが多い。
この国では家族でクライミングを楽しむのが定番のようだ。
取り合えず昨日のルートをリベンジ。
パワーもいるがどっちかというと小さなポケットホールドやくぼみに足を押し付けてスメアっぽい足使いを重視しないと登れない。

クライミングが足の置き方やバランスが重要ということをよく思い知らされる。
そういう意味からもこの岩場がフリーの草分け的な存在であることが分かる気がする。
お次は隣のCourage fuyons 7a+にトライ。
下はスラブで上はハング、しかも最後はハンドクラックが走っている。
トライしていたドイツ人らしき父ちゃんクライマーは「こいつはおもしろいぜ!」と言って勧めるので早速やってみる。
これも渓谷の上まで抜けていてゆうに30メートル以上はある。

最初のスラブでホールドが見つからず四苦八苦するが何とか滑りそうなつま先を押し付け直して耐える。
5分ほど同じトコでウンウン唸っていたが何とかカチホールドを見つけ中間部に垂壁へ。

縦カチと微妙に走ったフィンガークラックに指をねじこんで一旦左側のカンテに出るといよいよハング帯。甘いカチで無理やり引き付けてクラックの中に手を入れるがテーピングしてないしジャムの効きも良くない。

Courage fuyons 7a+最後は
被ったクラックでかなりパワフル!
何度か壁から剥がされそうになるが気合で上まで抜けた。

12aのオンサイトは初めてだったのでやはりうれしい。
父ちゃんも「ナイスファイトだった。」と褒めてくれた。
しばらくするとポツポツと雨が降り始めた。

30分ほど待機するが結構本格的な降りになってきたので諦めて降りることに。
雨でぬれ始めた岩場を名残惜しそうに眺めBUOUXを後にする。
アパートに戻ったのは午後4時頃。
夕食にはまだ時間があるしそろそろこのアパートからも引き上げなければならないので今のうちに片付けをする。

ドタバタしてたら夕方になってしまった。
シャワーを浴びいつものピザ屋に行くが月曜休みらしく閉まっており上のピザ屋へ。
前あまり食べられなかったサラダ デニソワーズを平らげることができ満足。
帰り際町が一望できる道端から夜景のボニューを眺める。
もうお別れだ…やはりちょっと名残惜しい。


10月12日
朝食を済ますと部屋の後片付けを始める。
新婚旅行で借りた宿のトイレ掃除や風呂掃除をするのもなかなか出来ない体験だろう(笑)
コンロの周りも綺麗にして一通り片付くと宿を後にしムッシュネグランのトコに支払いを済ませに行く。
旦那は相変わらず車にかかりきりでアパート経営にはノータッチ。奥さんに電話をかけ「宿代幾らだっけ?」と聞いていた。

昼前ボニューを後にして一路空港へ。
A7の高速に乗る頃には雨もポツポツ振り出してきた。
1時半頃Provance Airportに到着。近くでガソリンを満タンにするとまずレンタカーを返却。
ここからは自力で重たい荷物を運ばなければならない。

2時過ぎ空港内で遅い昼食をとると土産を物色する。
空港内の本屋にこちらのクライミング雑誌「VERTICAL」が置いてありBUOUXの特集が。
先に買っておけばよかった。よく見ると表紙は昨日オンサイトしたCourage fuyons。
何か嬉しい。



最終日に泊まったホテル
La Manufacture。
4時半、飛行機は一路パリへ。
シャルルドゴール空港に到着すると後は嫁さんにお任せ。
今回で3度目のパリとなる彼女は手馴れたものでさっさと市内行きの列車の切符を購入して「これはあっち」「今度はここで乗り換え」といつの間にか気が着くとパリ市内へ。
ここから予約したホテルを探すが思いザックは腰に堪える。
ありがたいことにホテルはすぐに見つかった。
ホテルは親切なマダムが応対してくれ部屋もとてもお洒落。

夕食を取りに市内へ繰り出すが目星付けていたレストランはやはり人気があるのかごった返しており1時間半待ち。
折角なので待つことにして予約を入れ先にシャワーを浴び近くのパブで一杯やってからレストランに行った。

味もなかなかでオーバーリアクションのマダムが面白かったがつい飲み過ぎてヘベレケ。


10月13日
パリは朝から曇り。
しかもかなり寒い。遅い朝食をホテル内で済ませチェックアウトすると荷物を預かって貰い市内へ繰り出す。
取り合えず嫁さんお勧めのAU-VIEUX-CAMPEUR(アウトドア用品の専門街)のあるカルチェラタンへ。
街はパニーニやクレープ屋、中華店などで賑わっているが所々に中世期の教会などが残されており歴史を感じさせる。
1時間ほどぶらついてようやくお目当てのクライミングショップを見つける。
実に品揃え豊富で地下はクライミングシューズ専門の部屋まである。
こちらではファイブテンの商品が安いらしく更に15%引きしていたのでベルクロが1万円程。

やはり買ってしまった。
しばらくすると店内に入ってきた日本人はどこかで見かけた方…
もしや…と思い尋ねてみるとやはりジャック中根さんだった。
フォンテンヌブローでボルダーをやりにきたらしい。

AU-VIEUX-CAMPEURのクライミ
ングショップ。

店を後にするとパニーニをかじりながらアウトドア専門の本屋へ立ち寄る。
クライミングのトポ専門のコーナーがありその種類と量にはさすがクライミング大国という他はない!

散々物色したせいで折角のパリ見物も殆どせずに(結局、大聖堂もエッフェル塔も見れなかった)
地下鉄を乗り継いでホテルに戻る。
ここから空港行きのバスに乗りシャルルドゴールへ。
出国手続きをして土産を買い貯めるとロンドン経由で一路成田へ。


10月14日
日本時間の3時過ぎ成田到着。
ようやく日本だ!と気が晴れるが嫁さんは飛行機で殆ど寝れなかったのかしんどそう。
旅慣れしているオイラが羨ましいのかえらく機嫌が悪い。
国内線に乗り換え名古屋に着いたのは夕方の6時過ぎ。日本もすっかり秋模様で寒い位だ。

嫁さんの実家でお母さんに秋刀魚の塩焼きと焼肉、茶碗蒸しをご馳走になる。
2週間ぶりの日本食はやはり最高。

明日から現実、欲をいえばもうちょっと登りたかったなー…


感想
初めてのフランスの岩場。まだまだ登り足りなかったし他の岩場にも行きたかったですがそれなりに充実しました。
岩のスケールと質はやはり素晴らしいものがありますね。
一応新婚旅行なのでそうガツガツ登ることは出来ませんでしたが楽しい2週間でした。
南仏では特に歴史や文化を感じさせる建物や生活が体験できてこれも印象に残りました。

それから海外では英語Onlyのオイラにとって現地コミュニケーションは嫁さんにすっかり世話になってしまいましたが次回行ければ(行けるのか?)少しは仏語も勉強してからにしたいものです。

情報提供で色々とお世話になった横浜の木村さんには大変感謝しています。
ありがとうございました。

さあそろそろアルパインモードに切り替えるか?



東海山岳会 海外山行