地域・ルート〕 笠ヶ岳・穴毛谷 第二尾根(左尾根より)〜広サコ尾根下降
〔期間〕 2003.3.31-4.1
〔メンバー〕 千田・大関

〔コースタイム〕(天気;3/31−晴れのち曇りのち雪 4/1−晴れ)
(3/31)新穂高温泉駐車場7:00−(第二尾根上)第一コル9:45/10:15−P4岩峰通過13:30−第二コルからザイルを3ピッチ伸ばした所(約2100m)14:45/雪洞完成17:45
(4/1)雪洞6:15−主稜線12:35/13:15−クリヤの頭14:30/45−新穂高温泉駐車場17:30
*駐車場は、4/1から有料でした。
〔コメント・報告事項〕
 先週(3/21-22)の鹿島槍天狗尾根は、承知して行ったとはいえ、ひたすら続く雪の階段に少し物足りなさを感じた。その場で、この二日間(3/31-4/1)で、どこか面白そうな雪稜に行こうと大関くんと話し、下山後いろいろと考えた。後立山、戸隠なども浮かんだが、最終的に私の意向で穴毛谷にさせてもらった。情報としては、名古屋山岳会HP記録、ローツェ隊の北村さんからの話などとても参考になりました。ありがとうございました。

3/31、移動性高気圧が抜けて天気は下り坂も朝はまずまずの天気。

久々に来た新穂高の雰囲気を味わいつつ出発。

大関くんは例によって快調に飛ばしてゆく。デブリはあるものの、雪質はまずまず安定していて、快適に二ノ沢に入っていく。
資料にある崩壊ルンゼは、明白で簡単にそれとわかる。アイゼンをつけて、簡単なダブルアックスで高度を稼いでいく。
手袋はべしょべしょになるがそれでも暖かい。春山の季節を実感する。
尾根上の第一コルに出て一休み。そこら中のリッジについた立派なキノコ雪は眺めていて面白い。抜戸の南稜や槍穂の主稜線もよく見える。    

    尾根下部のキノコった雪稜を登る

 ここからしばらく尾根上を歩き、本日の核心P4岩峰手前の南肩に出る。ザイルを伸ばし、はじめは岩峰の左側に出る。岩峰の上には、2mぐらいのキノコ雪が乗っかっており上がれそうにない。
懸垂の支点はあるが、25mで第二コルに行けるようにはとても見えない。北村さんの話で、本来の懸垂ポイントとは別のところから懸垂して苦労した、と聞いていたのでこれがその支点だろう。
よくよく資料を読んでみると、岩峰は右から回り込むと書いてあり、大関くんリードで右からのラインを試みる。ブッシュでプロテクションを取り最後は雪を切り崩して、岩峰の上に乗っかったキノコ雪のに出る。大関くんの大奮闘でした。
そこから、スタッフバックに雪を詰めて支点にして、シングルで懸垂下降。第二コルからザイルを3ピッチ伸ばして少し広めで緩やかになった斜面に雪洞を掘る。
この頃から雪が降り始めた。

  
P4岩峰からの懸垂下降

ここで、大関くんが実は雪洞に詳しいことが判明。入り口を80×70cmくらいとかなり小さくして暖かい雪洞を作るべくせっせと土方作業に励む。この時期の雪は硬く、しっかり時間はかかったが、立派な作品ができた。夜は、二人そろってペラペラのシュラフで就寝。それなりに寝られた。(オイラは寝れなかったケド…)。

   
 4/1、期待に適ういい天気だ。今日は、お互いに写真撮影大会となる。槍ヶ岳を背景に迫力あるキノコ雪の上を歩く姿はなかなか絵になる。
ブッシュ交じりの岩場3箇所はそれぞれ、脇のルンゼから通過する。
ザイルを一杯一杯に伸ばすので、距離感があり登っていて楽しい。
崩れかけた小さい雪庇や割れたクレバス状のところを超える時は、よくよく踏み固めて「お願いだから崩れないでね」と願いつつ、じわっと体重を乗せて立ち込んでいく。
こういう動きは、フリークライミングにもよく通じている。

    
超えてきたP4岩峰のキノコ群

核心部を越えて、第四コルからはロープを外し、とにかく歩くのみ。雪質が安定していて、視界もいいので不安なく進む。時期が悪いと、こういう場所こそ、雪崩や雪庇の踏み抜きが怖いところだ。やっとの思いで、主稜線ついた。ここまでで、好シーンの連続だったため、 2人とも写真を撮り切っていた。出来上がりが楽しみです。
 

笠まで行こうなんて話は当然出るはずもなく、下山開始。三ノ沢を下降できることも聞いていたが、主稜線でひびの入った特大雪庇をみてはそんな気も失せ、広サコ尾根から下ることに。
クリヤの頭から広サコ尾根への入り口は、少し分かりにくい。下降は、とにかく足が潜り苦労する。おまけに、東北支稜に入るつもりが、一本南の急な尾根に入ってしまう。
グサグサの雪に足を奪われ転がるようにして降りていく。
最後は、懸垂25mで一ノ沢に下りて、無事に新穂高の駐車場に戻った。
暖かい春山で、たっぷりの雪をくたくたになるほど味わい、もうお腹一杯になりました。
帰りは実に久々のケーチャン焼き定食を食べてご機嫌で帰ってきました。
2000年3月27日穴毛谷の大雪崩事故もあり、一概には言えませんが、の時期は、穴毛谷に行く絶好の時期だと思いました。いずれは、第一尾根にも行ってみようと思います。     
                                        以上/千田 記
感想 大関
 笠東面は急峻な地形であることは把握していましたが予想以上のキノコ雪軍団に驚きでした。ステップが崩れまくるのには往生しましたが3連休のように締まった雪質であれば快適な登攀になりそうです。
ヤセ尾根に付着するドカ雪、急峻なルンゼ地形などから天候、雪質によって危険度がかなり左右されること、悪天時下降ルートの把握が難しいことなどから登攀技術だけでなく雪山の技術、知識といった面でも内容が濃いと感じました。
今回は左稜から取り付きましたが右稜もキノコってて手応えありそうでした。
又挑戦してみたいです。んでも歩きすぎて腰が…

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