大平君に連れられて・・・
2004初秋 YOSEMITEツアー
Shinichi Izuchi
2004年6月のある日 「大平さんが自衛隊やめて、秋にヨセミテに篭るらしい」という情報が、金山の事務所を駆け巡った。 一方の私は、特に計画もないのに9月に10日間の休暇を申請していた矢先のことだった。
思わず、「そんじゃあ、わしも行くから、何本かいっしょに登ろう!」と言ってしまった。
大平さんといえば、陸上自衛隊のエリート隊員で、体力バリバリ。90秒間で85回も「腕立て」が出来るという並外れた肉体の持ち主。 一方の私は、「最近疲れが取れなくて・・」とか、「腰が痛くて・・」とか、弱る一方で、いよいよグチと言い訳ばかり得意になってる。
「井土さん、大丈夫ですか・・?大平さんなんかといっしょにヨセミテ行って、死んじゃいません?」との世間のありがたい心配をよそに、計画は固まり、日は迫ってくる。私にとっては、実に6年ぶりのヨセミテである。
8月中旬、期待と不安でパンパンになって日本を発つ大平さんに、私は是非とも登りたいルートの短いリストを手渡した。 これを登ろう!
・「Crest Jewel (クレストジュエル)」 5.10a 10pitchs
・「Steck−Salathe (ステック-サラテ)」 5.10b 16pitchs
・「Freeblast (フリーブラスト)」 5.11b 10pitchs
てなわけで、この3本登って来ました。 以下、報告です。 一週間で3本だけですけど、けっこう疲れましたわ。
ヴァレーフロアより遥か上、ワシントンコラムの上に、帽子のように乗っかった丸いドームがある。これがノースドーム。下から見ると小さく見えるし、誰もがその存在を知っているにも関わらず、もうひとつ存在感の薄い岩で、あまり登ったという話を聞かない。だいたい、どうやって行けば良いのかも良くわからない。 だが、このノースドームの巨大な南壁には、「このタイプのルートで、このグレードとしては、Best climb on the planet」と評される名ルート Crest Jewel がある。 詳しい記録を読む |
「たかだか 5.10b」 と侮ることなかれ。 こいつは本当に総合力が試される一本だ。 1950年に初登されて以来、恐ろしいワイド登りのテストピースとしてヴァレーに悪名を馳せ続けるこのルートは、16ピッチと長い上に、続けざまに登場しては体力絞りとるワイドクラック群、長く悪い下降とアプローチによって、いまだに多くのパーティーにビバークを強いている「大変なルート」なのである。半端はクライマーは簡単にはじき返されてしまうのだ。 で、私のような半端なクライマーが、このような大変なルートを手中にするチャンスはそうは訪れるものではない。「オフィズス・ロープガン」こと大平さんと組める今回こそが、その時だ。 私は迷うことなく、今回のヒットリストにSteck-Salathe 付け加えた。 詳しい記録を読む |
言わずと知れた、エルキャプのサラテウォール。その取り付きから10ピッチ目までを、オールフリーで登る企画物を Freeblast と呼ぶ。 早々と結論から言うと、私達は 「Freeblast を登った」とは言えない。3箇所出てくる5.11台のセクションは、みなフリークライムすることが出来なかった。 とはいえ、このラインはどうやって登ろうと、やはり素晴らしい。 というか、やはりエルキャプは素晴らしい。 「別格」という気がする。 そのことを改めて感じることが出来た。 何年も忘れてたことを、久しぶりに思い出しすことが出来た、そんな日であった。 詳しい記録を読む |
注目のリンク! ★大平ちゃんのヨセミテ日記も読んでみる → ヨセミテへの道 |
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