東海山岳会 海外山行

2016/5/14

「Yosemite El Capitan 「The Nose」 Part2」  山行記録 海外
iwaです。

Part2はいよいよビッグウォールに挑戦です。

4/29(3日目)
まだ暗いうちから前日に準備しておいた荷物を持ってエルキャプの基部まで行きます。

今日の目的は4ピッチ登ってSickle Ledgeまで荷物を上げて、フィックスロープを張って一度ベースに戻ること。

今回、ホールバッグが70Lと小さいサイズなので一人は水、生活用具、防寒着、予備ロープなどの入ったホールバッグを担ぎます。
たぶん35kgくらいの荷物です。
もう一人はメインロープ、フィックス用ロープ、荷揚げ用スタティックロープとほぼすべてのギアを背負います。
二人合わせて60kg近い荷物。
どうしてもホールバッグに入らなかった分を30Lのザックでセカンドが担ぐスタイルです。

道から見ると2ピッチ目と1ピッチ目にヘッドランプの光がチラチラ。
早く出たつもりだったけど先を越されたみたいです。

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準備に手間取ってすでに明るくなってます

基部からはⅢ級程度のクライミング。
さすがに35kgを背負っては無理でした。
途中からロープを出して50mで1ピッチ目のビレイ点へ。
もちろん荷物はホーリング。
まだアプローチなのに・・・

取り付きではまだ1パーティ待っていました。
どうやら先に3パーティいるみたい。
一日作業になりそう。

先行パーティが登るのを待っている間に装備を整えてしばし休憩。
風がかなり強く止まっていると寒い。

パートナーのうかPからつるべで登る。

1P目
スパーンとわれたクラックを想像していたんですが、カムが決められるところはほとんどピトンスカー(ピトンやハーケンを打ち込んで広がった跡)でした。
元会員O平さんのアドバイス通りTCUカムがピトンスカーにバッチリです。
キャメ#0.75サイズが多い。
残置には見たこともないサイズのアングルピトンも。
時々強制的にフリーが混じります。

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偶然にも落ちてきたTCU#2が映ってる このあとちゃんと拾いました
画像が削除されました
こんなサイズ見たことない
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ユマーリングと荷揚げ

2P目
サイズの小さなピトンスカーが続きます。
大体マスターカム#00(白)~#3(橙)くらいのサイズ。
それより小さいのにはオフセットナッツで対応。
初テンショントラバースで3mほど横のクラックへ。
最後だけ5.8くらいのフリー。
アプローチシューズのスメアは信じられない。

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3P目
ここで先行パーティに先に行かせてもらう。
練習らしく片方はめちゃ遅かった。
ここもピトンスカーが続く。
中間部はボルトラダーだけど間隔が遠くて大体アブミ最上段。
最後がなぜがフリーでアブミを外すのが大変。クライミングシューズだと何てことないかも。

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青空だけどとにかく風が強い

4P目
凹角クラックからフェースのボルトへ。
4mほど下ろしてもらってテンショントラバース。
トラバース後プロテクションとるところがない。
色々試したけどどれもしっくりこなくてボルトから垂れてるスリングにデッド。
怖かった。
このボルトからもう一度テンショントラバースするか、アブミを掛けて直接行くかの2択。
後者はリーチ必須だが、早い。
シックルレッジ末端のフレークに移ってからは簡単なフリー。

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テンショントラバース中

Sickle Ledgeに到着。
あんまりのんびりしていても寒いので,ホールバッグをデポして必要なものをザックへ移す。
ロープをフィックスして下降開始。
ほぼ真下に降りていけば支点があった。
ハンガーは2つだったり3つだったり。

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雨に降られて濡れるのは嫌なので一応ツェルトで雨対策

次々とフィックスして4ピッチ。
地上に戻ってきました。

意外と時間がかかってしまいました。
というか寒いかった。
明日ビバークなんてできるのだろうか?

なんて話しながらHalf Dome Villageに行ってピザ食べて天気予報の確認。
うーむ・・・あまりよくない。
ここまでの数日はほとんど当たっていないけど・・・
雨に降られるの覚悟で突っ込むことに。
雨対策は万全に。

時間が遅くてピザしか食べれなかった。
ついでに明日の朝ごはんとかも買ってテントに戻って就寝。

4/30(4日目)
前日は先を越されたのでさらに早めに出発。
暗闇の中フィックスロープをひたすらユマーリング。
セカンドはロープを回収しながら登ります。

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暗くてフィックスロープだけが文字通り「頼りの綱」
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Sickle Ledgeに着いたら装備を整えて登る準備。
まだ風は強くなくて快適。
残念ながらここから朝日見えませんが朝日に照らされたHighter Cathedralが映えます。
今日はここから登りだします。

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徐々に明るくなってきて否応にも気合がはいる

5P目
大きなレッジをフリーで登る。
というかエイドはやりようがない。
Ⅳ級くらい。
カムでビレイ点を作ってピッチを切った。

6P目
ビレイ点からフリーで数mのぼったあとカンテを右側に超える。
カンテを越えてからはキャメ#0.75~#1サイズのクラックを5m。
ビレイ点はハンガー×2
カンテを越えたとたん風が強くなってロープが飛ばされる。
上手くさばけなくてもうぐちゃぐちゃ。

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7P目
ビレイ点から7~8mくらい降りてテンショントラバース。
意気揚々と行ったうかPが足を滑らせて回転しながら振り戻されてビビった。
どうやら振った先に何もないらしい。
もう少し下りてハンガーに掛かっていたスリングを掴んで一安心。
そこから5.6くらいのクライミングをしてDolt Hole手前でピッチを切る。

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振り子からのフォロー 結構何度もでてきます

8P目
ビレイ点から数メートルはハンドサイズのクラックを登ってDolt Holeと呼ばれるでかい穴に突入。
奥に時々カムを決めながらチムニー登りで登っていくと#3サイズと#0.75サイズのダブルクラックに。
10mくらい登ると左側のフェイスにボルトラダーが。
このボルトラダーも遠かったり半分ワイヤーが切れた残置に乗ったり。
ハンガーボルト×2でビレイ。
穴の中は風がなくて快適だった。

9P目
Dolt Holeの終わりあたりまで20mくらい下りて振り子トラバース。
目安は少しハングしたところの真横あたり。
目の前にはDolt Holeがあるので勢いをつけて飛び越えましょう。
失敗したら壁に激突です。
移った先のクラックはジャストハンドサイズの5.8。
Stoveleg Crackというらしいですがアプローチシューズではつま先が入らずフリーでの突破はあきらめてエイド。
ず~~~とキャメ#2サイズです。
8P目の真横あたりにあるはずのビレイ点がなく、次のピッチ55mをつなげて計80mに及ぶ長いピッチになりました。
めっちゃ疲れた。

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Stoveleg Crack ちゃんと登ったらすごい楽しそうなクラックでした

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2ピッチ繋げた終了店でやっと一息

10P目
下部は凹角じゃなく左のクラックから。
少々もろい。
エイドというよりはA0に近い。
飛び出たフレークにフリーで乗り移ってキャメ#3サイズのフィストクラックへ。
ここも延々とフィストサイズ。
キャメ#3が2個だと怖い思いをする。
最終的にはギリギリキャメ#4サイズに。
Dolt Towerから2段下のテラスでピッチを切る。
もう風は暴風。
ロープもアブミも絡まってくっしゃくしゃ。
上手くさばくとかそういうレベルじゃない。

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風向きも変わって荷揚げロープを見てないとどっかいって絡まりそう

11P目
キャメ#4サイズのクラックからⅢ級くらいの登りでDolt Towerへ。
Dolt Towerの上は意外と広くなくて快適とは程遠そう

この時点で16時過ぎ。
あと3ピッチでEl Cap Towerだが・・・
予想していなかった強風でビバークに不安が出てきた上に予報では明日は雷雨だったはず。
とても耐えられそうにないので撤退を決める。

もう一度チャンスはあるので余分な水はここにデポしておくことに。

懸垂準備をしていざロープを投げたら風で真横に吹っ飛んでいきました。
・・・・
・・・・
もう笑うしかないですね。

逆に納得して潔く撤退。
さすがにホールバッグを背負っては懸垂できないので、吊るして懸垂8ピッチで地上に。
地上でもかなりの風が吹いてました。

絶対戻ってくるから待ってろよと心の中で叫んでテントに帰りました。

この日も夕食はピザ。
遅いとピザ屋しかやってないから仕方ない。
仕方なくピザなんだ。決して食べたいわけじゃい。断じて。
でも旨い。

明日はレストかなぁ


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