東海山岳会 海外山行

2010/1/4

「12/20-31 タイ プラナーン」  山行報告 フリー
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

昨年末に一足早くお休みを頂いてタイへ行ってきました。私は2003年以来二度目の訪問です。一年遅れの新婚旅行を兼ねており、クライミングは「二の次」のつもりでしたが、結果的には嫁さんの理解に恵まれて、まずまず充実した登りを楽しむことができました。
写真を色々と撮ったものの、デジカメ紛失という痛恨のアクシデントがあり、アップできる写真がありませぬ。。。。。。。。。見栄えしないのですが、報告と成果を書きます。

■12/20 移動日
セントレア空港 11:00発→バンコク経由クラビに18:10着(日本時間:+2hで 20:10)
タクシーでアオナンへ移動~宿泊

■12/21 少し登る
アオナンの町に出ると、カトマンズのタメルと同じような雰囲気で随分にぎやかな土産屋&レストラン通りになっている。こんな開けた街だったっけ?全然記憶にない。
何はともあれ、Railayへ移動するボートに乗り込む。値段は80バーツ/人(1バーツ=約3円、決して安くない)。2003年は50バーツだったような気が・・・。しかも、今では、販売所でボートチケットを買って同乗者を待つシステムになっていた。何だか以前と勝手が違うぞ。

ようやくボートで洋上に出る。アンダマン海の美しいエメラルドグリーンは、以前と変わることはなかった。洋上の風と波しぶきが心地よい。ここに来るのが初めての嫁さんも大いに喜んでいるようだ。

Railay Westに着いてからEastへ移動。まずは、お手軽なOne-Two-ThreeとMuay-Thaiエリアへ。相変わらずOne-Two-Threeは地元ガイドさんで込んでいるので、Muay-Thaiで、2本だけ登る。

「Take It Easy/5」OS
嫁さんもTRで登る。するするとノーテンションでこなす。途中でひざを使って、あざが残ってしまったけれど・・・。
「Alone/6b+⇒(最新)6b」OS

その後、泳ぐつもりでWestに戻るが、天気が曇りがちで気分が乗らず、ビーチでごろごろしただけでアオナンに戻った。

■12/22 少し登る
今日はTonsaiへ。朝のんびりだったので11:00ごろ着。既にTonsaiは日が当りはじめており、ルートもよく分からなかったのでここでは登らず、泳いで昼飯をとる。午後から涼しくなるFire Wallエリアで登る。

「Fire Starter/6c+」2トライ×
2003年に一回触って上までいけなかったルートで苦手の被り系。今回はどうにか上までムーブ解決。一緒に登った外人が、「このルートより簡単な7aはいっぱいあるよ」と言っていたが、私も同感。

アオナンへ戻る際、ボートの同乗者がおらず、値段交渉の末、2人で500バーツを払った。ボートマンの連中は、売り手の方が立場が強いことを完全に自覚してしまったようだ。

■12/23 宿移動日(レスト)
アオナンからRailay Eastのホテルに移動。Westのビーチで泳いで、マンゴーパンケーキ・バナナパンケーキとフルーツの盛り合わせを楽しむ。自分にはない視点で、これはこれで、なかなか楽しい。
最新のトポをここまで買わずにいたが、この日、とうとう我慢できずに買ってしまった(800バーツ)。おかげで、トポを眺めて飽きない時間を過ごす。

■12/24 あちこちで登る
朝少しだけ早めに準備して、干潮の時にしか行けないLow Tide Wallエリアへ。ここは、立派な垂壁のあるエリア。嫁さんは、帰れなくなるのではないかと不安なようで嫌がっているがどうにか許可を得る。

「Narsilion/6c+⇒(最新)7a」RP(3)、今回はマスターで一撃
四ツ星のルートで、前回の宿題の中では一番登りたかった垂壁の長いルート。ムーブ等全く覚えておらず、実質オンサイトで登れてうれしかった。

その後、One-Two-ThreeとMuay-Thaiエリアへ移動。

「Muay Thai/6b+」MOS
コルネを使った3次元クライミングが楽しい。久々の感触で、少し戸惑った。
「Old Route/5」MOS
嫁さんもTRで登る。出だしの被ったところが核心かと思っていたが、そこはするすると苦労せずにこなす。意外にやるな!という感じ。ところが中間のトラバース気味のところがこなせずに断念。もう一度やれば何とか上まで行けるかな、と思っていたが、結局その後トライさせてあげれなかった。

宿に戻って、水着に着替えてからPra-Nang Beachへ。ここは、砂浜が一番きれい。海中の岩も少なく、泳ぐにはよい。しかし、クラゲがいるのか?少しチクチクするのが残念。登りは、Happy Islandエリアへ行きたかったが、満潮のためボートでないと渡れずに断念。そのまま、Pra-Nang Beachエリアで登った。ここはどっ被りの岩で、2003年のトポには掲載されていない。地元クライマーが、黙々とトラバースをしていた。なんともストイックな・・・。私はTonsaiの予行演習のつもりでお気軽に遊ぶつもりだったが・・・。

「Little Shit/6c」2トライ×
短い被ったルート。スローパーホールドに苦しめられ上まで行けずに断念。1便目、核心はあと少しというところでフォールした際に嫁さんの顔に足が当ってしまう。2便目も怖くて突っ込めず。幸い大事には至らなかったが、このルートは納得の封印。

West側のビーチなので、美しい夕日に癒されて宿に戻った。

■12/25 内容充実の登りDAY
Hidden World~The Keepエリアとこの日は泳ぎなしで登る。The Keepは、前回も来たはずだが全然覚えていない。巨大な岩のゴルジュを抜けて、Fixロープを5mほど下ると岩場にたどり着く。海を一望できる展望のよいところだった。探検しているようで、岩は登らない嫁さんも楽しんでくれているようだ。

「Tom's Pitch/7a+」MOS
四ツ星の長いルート。中間部と上部の2箇所が核心。会心のオンサイト。他にも面白そうなルートはあったが、この1本で満足して、The Keepへ移動。
「Lom Mon/7a」OS
もっと長いルート。タッチの差で外人さんに先をとられマスターで取り付けず。割と余裕で登れた。
「Tongue Thaid/7a+」RP(2)
あわよくば2ピッチ目の7bへリンクさせようと思っていたが、1ピッチ目でお腹いっぱい。見た目以上に被っていて手強かった。

昨日の「Narsilion」、今日の3本とよい成果が続いてモチベーションが上がってきた。明日からは、Tonsaiへ宿を移すので、被った岩でどれだけやれるか期待と不安が入り混じった心境でした。
夕方の美しい海に癒される
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(写真は山gorogoroさんに送っていただきました)


■12/26 宿移動日(午後に少し登る)
朝少しだけ早起きしてお散歩、ボーっと美しい朝日を眺める。のんびりした時間が心地よい。朝食を済ませ、荷物を片付けて、Westのビーチまで移動。ボートチケット販売所らしきところで、Tonsaiへのボート代を聞くと
「一人50バーツで4人集まるまで待て。それが嫌ならお前たち二人で200バーツ払えば乗せていってやるよ」

とのこと。目と鼻の先のTonsaiまで行くのにその値段かい??
頭にきたので待つことにしたが誰も来そうにない。ボートマンたちは暇そうにしているのに。
アオナンからの客を降ろして、そのまま帰ろうとするボートマンに「100バーツでTonsaiへ寄ってよ」と直接聞いてみるが、「チケット販売所へ行け」と断られる。
こっ、こいつら、、、、結束力が強くて手ごわい。結局、屈服させられてしまい、200バーツを払ってTonsaiへ移動した。
何はともあれ、Tonsaiの宿へ着く。宿の移動はこれで最後。少しリラックスした気持ちになる。昨日の疲れもあったのでのんびり過ごして、午後遅めにMelting Wallエリアへ。ここは、前回行かなかったので初めて。壁が大きく傾斜もきつくて、岩の迫力に少し気後れしてしまう。「Affenhitze/7a+」という30mの長いルートをやるつもりだったが、外人さんが相当に苦労していたことと、順番待ちで込んでいたことと、中間のムーブがどうしても思い浮かばなかったことで断念。空いている右側のルートに取り付いた。

「Bonsoir/7a+」1トライ×
15mと短く、ひとまず触ってみたが中間部が全然できずに敗退。被ったルートは全然ダメなのか、体が疲れているからなのか?
「The Smoking Room/6b+」MOS
敗退した後、すぐにロープを結び直してトライ。お口直しのつもりでなめてかかったが、大変な目にあった。このルートは、見た目では分からなかったが、ルート全体としては5mぐらい?被っていた。コルネをうまく使って不思議な感覚でじりじりと登るので、それほど傾斜を感じないがなかなか手強い。Climbingというよりも洞窟をExploringしているような感じ。個人的には大好きなルートですが、好みは分かれそう。

その後、Fire Wallエリアへ。

「Fire Starter/6c+」RP(4)
ヌンチャクがかかっておらず、マスターでトライ。核心部のクリップをした後かなり下まで戻ってレストをして、ようやくRPできた。

■12/27 象さん乗りツアー+お買い物(レスト)
旅行の主目的におけるメインイベントの一つに出かける。「登るだけじゃなくてきれいな海で色々と遊べるし、象にも乗れるし、普通の旅行でも、とてもいところだよ」と嫁さんにアピールしていただけにこのイベントを外すわけにはいかない。ホテルにおいてある色々なツアープランのなかで一番シンプルな「象乗り+寺院訪問、半日で1人800バーツ」のプランに申し込んだ。(ただし、アオナンまで朝早く行く必要があり、ボートの貸切りを勧められたので、それに従った。ボート代は500バーツとのことで、二日目の値段交渉結果は相場価格どおりだったことが分かった。)

アオナンから車で30分ほど移動して、はじめは、Tiger Templeという寺院へ。約1200段の階段を登ったところに大仏があるらしく、頑張って行ってみることにした。壁のように見える急な階段もあり、かなりしんどい登り。今日はレストのはずだったのに。40分ぐらいかかってようやく山頂?に辿りつき、今日も完登の満足感を味わうことができた。ここには、約5mの金ぴかの大仏が鎮座されており、よく晴れた青空に金色が映えて、なかなかよい所だった。

次に、寺院から10分ほど移動して、いよいよ象さん乗りツアー(1時間)へ。一番、大きい雄象に乗せてもらい、ジャングルのトレッキングコースに出る。象の背中に台座が固定されており客はそこに乗り、象使いは象の首にまたがっている。一般に、象は80~90年ほどの寿命らしい。私が乗せてもらった象は、約25歳らしくかなり元気がいい。巨大な哺乳類の、一歩一歩の力強さが背中から伝わってくる。はるか昔の王様もこんな感じで象に乗っていたのかと想うと、少しリッチな気分にもなれる。一日に400~500kg程度の餌が必要らしく、ツアーの値段はリーズナブルなのかもしれない。後半は、象使いは下りて歩き、私は象の首にまたがらせてもらった。よい感じの記念写真をとってもらい、幼稚園の甥っ子にも大いに自慢できそうだ(写真がなくなってしまったけれど・・・)。ツアーの締めに、バナナをあげるイベントもあり、彼らの器用な鼻にも感嘆した。喜ぶと耳をパタパタさせる様子がなんともかわいらしい。

午後は、アオナンでお土産の目星もつけて宿へ戻った。今日の象さん乗りツアーは、思っていたよりもはるかに満足で、家族ポイントも一気に稼ぐことができた(はず)。指を休めることもできたので、明日以降、しっかりと登ることができそうだ。


前夜、残り4日間で、あのルートやこのルートを登って、ついでにこれも、うまくいけばあんなのも、、、、、と妄想を膨らませた。こういう時間もまた楽しいですね。妄想は半分ぐらいは達成できたので、まずまず、といったところでした。


■12/28 内容充実の登りDAY
朝から腹の調子がおかしい。前回同様に、滞在してから約一週間を経過してから発症。それほど悲惨な状況ではなく、少しのんびりとDum's Kitchenエリアへ。九州から登りに来られている方たちと少しお話しもした。(お1人はお坊さんらしい。このパターン、意外と多いのでしょうか。)

「Reminiscence/7a+」RP(2)
ルート開拓にトッド・スキナーが関わっているらしい、活動の幅が広いですね。薄被りの長いルートだがボルトは少な目。上部で微妙なバランスのトラバースが核心。二便目、登れる自信はなかったが、運よくRP。岩に陽が当たる直前だったので、このトライで登れなければ時間がかかったかもしれない。
「Wake & Bake/7a+」OS
このエリア名の由来となったDumさんが、このルートの横で寝起きして料理していたから、このルート名がついているらしい。かなり被ったコーナークラックのルート。両足ステミング気味にバランスをとって傾斜を殺して、手はフィンガーからハンドジャムで、美味しくオンサイト。一度テンション入れてしまうと嵌ってしまうタイプのルートだと思う。


7a+を2本登れて、すっかりご機嫌。腹の調子もイマイチだったので、部屋に戻って、ベランダで読書して過ごす。夕方4時ごろにTonsai Roofエリアを見に行くが、まだまだ暑そう。仕方なく、行ったことのないThe Nest/Wild Kingdomエリアへ。ここも岩のスケールはまずまず立派な人気エリア。少し山の中に位置するためか、夕方の時間帯のせいなのか、蒸し暑いし蚊が多い。日本から持ってきたノーマットの神通力も影を潜めてしまい、居心地はイマイチだった。

「Britishly White/7a」1トライ×
プリクリップ前提の出だしからかなり被ったルート。下部で力尽きてテンション。あとは各駅停車で切り抜ける。ニーバーが有効で、一つムーブの引き出しが増えた感じになった。上の7a+にリンクさせるつもりだったが・・・・(略)。

結局この日も4本しかトライせず、それでも満足の登りで、かなりくたびれてしまった。明日はようやくTonsai Roofだ。「Lal Bab/7a+」を気持ちよく登って一応の締めとして、あわよくば「Cafe Andaman/7b」も登れればいいけどなぁ、その後シーカヤックでもして、と妄想していたが、ここで痛恨のカメラ紛失事件が発覚。このアクシデントから今までのよい流れは大逆流をはじめる。

■12/29 登ってる場合じゃないよDAY
カメラは出てこない。とりあえず、目立つところに張り紙をしてもらう、あとは待つしかない。この日から、嫁さんも腹の調子が悪くなる。カメラのことが応えたのか、バタバタしている私をみてくたびれてしまったのか。。。
昼前に登りに出かけるが、「Lal Bab」は順番待ちで、日が当たるのも早い。全く気合いの入らない状態で取り付いても登れないだろうなぁと分かっていつつも、日が当たるまでまだ時間のあるという理由で「Cafe Andaman」を触ることにしたがお話にならない。

「Cafe Andaman/7b」2トライ×
終了点までたどり着けず。体に力が入らない。右の中指も少し疲れ気味。。。。

昼から夕方にかけて、また宿で読書をして過ごしてから、昨日の宿題を終えるために、もう一度The Nestエリアへ。今日は風が吹いていて気持ちよく蚊も少ない。現地の蚊取り線香と虫除けスプレーも準備してきたので、居心地ははるかによかった。

「Britishly White/7a」RP(3)
一便目はヌンチャクがけ、二便目でどうにかRPできた。このルートは鳳来のルートに似ている印象。

カメラが出てくる、という奇跡を願うが現実は厳しそう。登りもレストが必要な感じだが、さりとてAndamanに手をつけてしまったのに残り日数はないし、、、と、徐々に現実の世界が近づいてきた。

■12/30 やめとけばいいのにDAY
指の調子はよくない。嫁さんは軽い頭痛もするようになってしまい、朝はゆっくり過ごす。少し嫁さんの体調もよくなり、気分転換もかねて外に出る。Andamanを2回トライするが上まで繋がらない。午後は、また読書で過ごす。夕方、もう一度Andamanを触ってようやくムーブは開通。明日の午前中で登れればいいのだが。この時点でシーカヤック遊びは選択肢から消えることに、、、スマヌ。

「Cafe Andaman/7b」3トライ(通算5トライ)×

■12/31 少し登ってから移動
早めに起きてトライするが、指だけでなく首も痛く上半身の稼動域が狭くなってしまった感じで、当然のように登れず。すんなりとあきらめる。山gorogoroさんに写真を数枚撮っていただき、カメラ紛失に関して最低限のリカバリーもできた(ありがとうございます!!)。宿に戻りシャワーを浴びてからチェックアウト。ここは気軽に来られるので、去年のバガブーのような感傷もなく、帰路に就いた。

「Cafe Andaman/7b」2トライ(通算7トライ)×




最後はイマイチになってしまいましたが、それでも十分に楽しい時間を過ごすことができした。
感謝感謝!
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(山gorogoroさんに撮っていただきました)


東海山岳会 海外山行