東海山岳会 国内山行

2017/4/3

「3/30-4/2鋸岳→甲斐駒ケ岳縦走」  山行報告 雪山
桜の季節がやってきました。どうもキスケです。
追記:iwa

iwaさんと鋸岳→甲斐駒ケ岳の縦走に行ってきました。

もともとこの計画は、去年の雪上訓練の時のiwaさんにどこか雪山に行きたいと言ったことから始まりました。
僕は雪山経験もほぼない状況だったので、iwaさんからは3月までに自分で経験を積み全行程の4割自分でこなせるくらいの計画を自分で考えるように宿題をもらいました。


調べる内に、いつか登りたかった鋸岳を思い出した。
登攀要素も少なくこれなら行ける!どうせなら甲斐駒ケ岳まで繋げたいとiwaさんに話すとOKをもらいました。
自分の実力+2ランクぐらい上だと思い背伸びすればいけると思いました。


焼山の時の、体力不足と経験不足も日々走ったり、いける日は雪山に行ったりする事で少しはまともになってきたと思いました。
特に体力面では焼山以来、おいていかれる事はなくなったのでだいぶ体力はついたと思っていました。



では、本編へ

行程
3/30
戸大川駐車場6:50-角兵衛沢分岐8:40-大岩下ノ小屋11:20-角兵衛沢のコル14:00 幕営
トータル7時間10分

3/31
角兵衛沢のコル4:30-第一高点5:15-小ギャップ5:35-鹿窓6:40-大ギャップ7:20-第二高点8:20中ノ川乗越8:50-6合目小屋13:25 幕営
トータル8時間55分

4/1
6合目小屋4:15-甲斐駒ケ岳8:30-駒津峰10:30-双児山11:10-北沢峠14:00-戸大川駐車場17:30
トータル13時間15分

装備:縦走登攀装備

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3/30戸台河原駐車場→角兵衛コル
戸台河原駐車場をでて、戸台川を遡っていく。

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雪が全くない戸台川

2時間半程度←1時間40分くらいで角兵衛沢出合に着く。
そこから鋸岳を見るとすごく近くにある!!しかし、それ以上に高い!!
それもそのはず、出合から鋸岳まで標高差1300mあるのだ…それも、この近さで!平均斜度にしたら相当なものだと思う。
計算上では平均斜度28度。これ自体は大したことはないですが、上部は40度くらいはあったとおもう。

出合ですこし休憩した後、角兵衛沢を登っていく。
登りは結構キツかったが、かなり早いペースで最初の1時間で400m上がった!
でも、当然そのペースを保てる訳なく、iwaさんにおいていかれる始末…体力トレーニングはしてたのに…

大岩下ノ小屋の前あたり2250mあたりからアイゼンを付け岩と雪の歩きにくいガレ場をひたすら登っていく。
やっとの思いでコルに到着。

コルは狭く、山梨側が切れ落ちているため2テンがギリギリ張れ、アルパインスタイルなテント場であった。

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カッコいい!!ノースのアサルト2だったかな?


この日は、明日に備えて牛丼ペミカンを苦しくなるほど食べて早めに就寝。



3/31角兵衛コル→6合目石室
2時に起床し、朝ごはん。この日から軽量化の為に、アルファ米150gと味噌汁のみ。
この日は、鋸岳から6合目石室までの山行の中で最も登攀技術を必要とする日であった。

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ヘッデン行動でいきなり急登

コルをでてすぐ第一高点への登りが早速悪くて、落ちられないプレッシャーと動く脆い岩場に苦戦しながら登っていった。


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鋸岳頂上(第一高点)

第一高点に着き、そこからすぐ行くと小ギャップに着いた。
練習の成果なのか懸垂下降は、特に問題なかったが、小ギャップの登り返しがまた悪くここでも苦戦した。
雪もかなりあり完全な冬山であったことが、難易度を高くした。


登り返しを気合いと鎖を使い登るとすぐに鹿窓だ。
鹿窓に行くのに本来は山梨側から、巻くのだが直登してしまい鹿窓の上に出てしまった。
信州側の鹿窓へiwaさんがクライムダウンして行く…かなり悪いみたいで難しいムーブをしている…上から見てる僕はそんなムーブは出来る気はしない。

結局、登り返して木で支点を取り山梨側の鹿窓へ懸垂下降することにした。

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昔バスからみた鹿窓がこんな近くに
鹿窓は通過せずに脇を山梨側の雪壁を越えていく

鹿窓を過ぎると第三高点があり、アップダウンはかなりキツかった。そして、次は今日最大の核心の大ギャップ!!
それも特に問題なく通過したが、そこの登り返しもかなり急でキツかった。

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大ギャップの底
大ギャップの底へは懸垂。支点は灌木に残置スリング。

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大ギャップの登り返し。かなり急でキツイ
大ギャップの底から戸台(伊那)側のルンゼを100mほど下り岩壁の基部に沿って登り返す

鋸岳は、浮石と脆い岩場の歩きで体力が奪われる。また、基本的に気が抜けないような岩稜があったり切れ落ちてたりと稜線ではかなり集中して登っていた。

大ギャップを越えると第二高点だ。
なんか剣みたいなのが刺さっていた。

そこを過ぎると中ノ川乗越で、ここは誰がどう見ても雪崩地形だった。
トラバースはなるべく雪に負担をかけずかつ早く済ませた。

ここまで、ほとんどiwaさんに先頭を立ってもらってた。
体力作りはしていたが、全然足りていなかった。
その頃になると、雪もちらつき予報通りの結果となった。

iwaさんから、今なら熊の穴沢からエスケープも出来るけどどうする?と聞かれ、正直心が揺らいだ…ここまでで体力はかなりキツイ…iwaさんにも負担をかけている…このまま続けて良いのだろうか?
もう一つ躊躇させる要因として、中ノ川乗越から甲斐駒ケ岳方面はかなりの急登だった。


そして、相談の結果行くことに。
ここからは、自分もラッセルを代わりiwaさんが休めるようにゆっくり長くラッセルを行なった。
人頼みになるのは良くない、それはわかっている。しかし、ここでのチームワークはiwaさんにラッセルをして貰うために休んでもらう、そう思った。その為に自分が出来る範囲の最大限をした。



ここの縦走路は、数々のピークがありその都度嫌と言うほど雪壁を登らされる。
またパウダーで固まりにくい為、なかなか登りにくいことも…


焼山を彷彿させるキツさがあった…。
6合目石室が見えて、そこに行くまでは一歩一歩が苦痛で、喘きながら、全てを出し尽くしてやっとの思いで小屋に着いた。

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小屋の屋根で頭を打つ…iwaさんもやってました。二人とも疲れてたのですね笑

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小屋の中は広々 テントを張って快適に過ごす

今日の夜ご飯もご飯と味噌汁である。
シジミの味噌汁が体に染みる…
この日も早めに就寝したが、小屋泊が合わないのか全然寝れなかった。
恒例の飲みしごきで就寝後3回もトイレに起きた


4/1 6合目石室→戸台河原駐車場
2時起床。
疲れはかなりあるのに全然寝れなかったせいで、朝から頭痛がし、熱っぽいし、食欲もあまりない。
朝ごはんのアルファ米と味噌汁。アルファ米150gが多く感じるが、食べないと動けないと自分に言い聞かし無理やり食べて薬を飲んで出発。
本当の核心はここからだった

甲斐駒ケ岳までは、偽ピークがいくつもあり精神攻撃をしてくることは予習済みなので覚悟して行った。

一日中降り続いた雪でラッセルはさらにしんどくなった。
ラッセルはもう焼山とかわらない…
3日目それもかなりキツイ行程でのこれはかなり堪える。
しかし、ここまで来たからには行くしかないので前に進む。
思ったより降雪が多く、ヤバそうな斜面はすべてパスしてブッシュと露岩帯をつなげて登りました。


甲斐駒ケ岳の山頂直下に着くと岩場と雪でかなり歩きにくい。途中この山行の中で一番悪い登りが出て来た。iwaさんもロープを出すか迷ったようだった。
おそらく2780m付近のピーク付近の鎖場だと思います。
この他にも夏道の印につられるとヤバいところを通らされたりするので盲目的に行くと行き詰ります。


やっとの思いで甲斐駒ケ岳へ着いた。

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甲斐駒ケ岳山頂


もう登らなくていいだ…という安心感があった。
しかし、そうはさせてくれなかった。双子山までは登り返しもあり、もう登る筋肉が死んでいる僕の足にとってはどんな登りもキツイ。

北沢峠に14時に着き、二人とも相当疲れてて半分死にかかってるので、ここで泊まるかあと4時間半歩いて下山するか相談。

泊まりたかったが、アルファ米と味噌汁は飽きてもう喉を通らない気がした。



北沢峠からはなんてことない道を、温泉と夜ご飯に行きたい一心で帰ったら、4時間半かかるところを約3時間半で着いた。





感想


この山行は、iwaさんは怪我からのリハビリ山行でもあり、ここまでハードな事が出来るものなのか…ただただ凄いと一言でした。この縦走をするにあたりいろいろな山行記録を読み漁ったが、どの山行よりも雪は多く、ラッセルやルートファインディングは、大変だった筈なのに、それでも行ける総合力の高さは素晴らしい。改めて、自分の目標の高さを実感した。


僕は、と言うと焼山のような連れてってもらう山行はしないと決めた筈なのにまた同じ事をしてしまった。
キツくなると視野が狭くなり、ルートファインディングも良くないし、岩場をアイゼンで歩く技術やクライミング技術、体力は、明らかに足りておらず時間がかかった。
さらに、調べた状況より環境が過酷な場合の事は考えておらず、これぐらいなら行けると思い込んでいた。ただでさえ背伸びした計画なのに、それ以上はできるはずがない。認識の甘さがあった。
こんなやり方では、いつか痛い目に合う…久しぶりに反省ノートが文字でいっぱいになりそうです泣笑

そして、何も出来ない僕はヒヨコでした。ピヨピヨ…
そりゃナサ崎で猛禽類に狙われるわけだ笑
猛禽類もよくわかっていらっしゃる笑


しかし、出来る登山をするのではなく、自分の限界ギリギリの登山は自分の力の確実な底上げになるので、これからも目標を定めて取り組んでいきたい。 



反省点はいろいろありますが、とりあえず完登出来きて良かったです。
ちなみに、鋸岳までが一つのバリエーションで鋸岳→甲斐駒ケ岳で計2つのバリエーションと言う説がありますが、どうでしょうか?


番外編
焼き鳥丼大盛りを食べるiwaさん

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感想:iwa
3月末の南アルプス。
もう春山だろうと思っていたが、山行前わずか1週間の間に冬に逆戻り。
おそらく積雪は例年より多く、2日目夜の降雪でラッセル地獄に陥った。
キスケがバテているためラッセルしてても追いついてこないので、ほぼ一人でラッセルした。
リハビリ山行としてはハードすぎて辛かったが、それでもやっぱり終わってみれば楽しかった。

技術的にはそれほど難しいところはないが、角兵衛沢の登りや、ルンゼや沢の雪の状態判断、ルートファインディング、甲斐駒ヶ岳への稜線上の岩稜帯などいろいろな要素があり、さらに体力、精神力も問われる総合力の必要なルートでなかなかに手応えがあった。

キスケ君もこれから何が必要で何が必要ないか感じれたと思う。
あまり色々説明するのは苦手な方なので山行の中で感じ取ってくれたら連れて行った甲斐もあるってもんです。
僕もそうやって成長してきたので懲りずにまた行こう。


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