東海山岳会 国内山行

2017/9/6

「9/5 台高 東俣谷」  山行報告 沢登り
台高の大熊谷支流東俣谷は結構評判は良い沢だが、終了後の林道の下降が2時間半ぐらいかかるというのがネックになってる。車を林道の東俣谷出合まで乗り入れたら、さらに1.5kmプラスで3時間弱というところだ。

これを何とかしたい。里に近い山なので、絶対もっと早い道があるはずだ。

沢の記録を調べると、みなさん車2台できて一台を林道の途中にデポするとか、チャリをデポするとかの方法で対応されてる。一つだけ沢の近くを降りたような記録があったが、具体的にどこを下ったかは全然分からないし、「適当に降りたら悪かった」的な内容なので、参考に出来ない。

やぶこぎネットの過去ログを調べたら、夢幻滝の下から左岸の尾根を越えて二股に行く踏み跡があるらしいということ、そして二股から上の尾根は、少なくとも上の方は尾根通しにしっかりした踏み跡(林業用?)があるらしいことが分かった。しかし文章だけの記録なので具体的にどこを通ってるかは分からず、だいたい10年も前の記録なので今どうなってるかはわからない。
これはある程度予想をつけておいて、あとは現場判断になるな・・・などと考えてたら、沢登りよりもよっぽど下降の方が楽しみになってきてしまい、何をしに行くのかよく分からないけど、とにかくワクワクしながら出かけました。

林道の駐車場所の直前まで来たら、道を熊が歩いてた!
すぐに山に駆け上がっていったが、また降りてくると嫌なので、クラクションで思い切り威嚇しておきました。そんなことで今日一日ホイッスル吹きまくりで歩きました。

8:30出合から入渓。
沢の方は、大きい滝が二つ出てくるという点を除くと、全般に平凡で淡々と過ぎていく感じです。水が少なかったのもちょっと影響してるかもしれない。南向きでよく日が入る森なので、何かあまり深い山に入っている感じがない。同じ尾根の北側にある蓮界隈の沢のあの良い雰囲気はあまりない。

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くの字 その1  まとも泳げるところはここだけなので、泳ぎたい人はしっかり泳いでおくこと。

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くの字 その2  上段が激悪らしい。 巻く。

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不動滝 60mあるらしい。当然巻くが、滝との触れ合いがないのが残念だ。

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夢幻滝 50m 命名は俳優の中尾彬らしい。
これも巻くが、ちょっと登って滝に打たれたりと触れ合えたので楽しかった。

これを巻きあがったら、あとはそんな難しいものは出てこないはずなので、ここからちょっとした実験を開始。
ぬめりに弱いラバーの靴に、化繊よりフリクションが良いと言われる綿100%の軍手をはかせて歩いたらどうなるか?

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左足だけ軍手です。

これで脱渓地点までずっと行動しました。濡れた岩、乾いた岩、ガレ場、土の上等々。
その結果ですが、
う~ん・・・。少なくともこの沢の岩質だと、ほとんどゴムと軍手の差はない。ぬめってるところでは、わずかに軍手の方が良いかもしれないぐらい。
なので、ぬめりの対策にはならないのかもしれないけど、でも逆に考えると1万円以上する靴のソールと、カーマで2組150円の軍手との間に差がないというのは、凄いことかもしれない。
そしてゴムの摩耗も遅らせられる。
あと何より驚いたのは、全然脱げてこないこと。靴との相性はもちろんあると思うけど。
欠点は、細かいホールドに足先を乗せる時に、ぶらぶらしてる指がじゃまになって深く刺せないこと。これは慣れてくれば足首のスナップで指を全部足の甲の上に乗せることができるようになる(かもしれない)。
次回は花崗岩の沢とか、フェルトとの比較とかしてみたい。


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この滝は良い雰囲気だ。洞窟の奥に水が落ちてきてる感じ。

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中に入ってみる。

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滝も軍手足で登ります。

二股から上のたくさんの滝は「8m堰堤状」というやつ以外は全部直登できました。

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これだけちょっと悪かったのでロープ使用。でも軍手足でOK。


奥の二股を過ぎてちょっと行くと、右に台地状の所があったので、何となく上がってみたらドラム缶。 

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割れたお皿や一升瓶などもあり、これは飯場跡だ。

「よくこんな所にこんなものがあったもんだ」と感心してたら、ふと下の斜面みると何か踏み跡っぽいものが有るような無いような。そりゃドラム缶があるんだから運んできた道があるのは当然かもしれないけど。ちょっと心にびびっと来るものがあって、その踏み跡っぽい地形を偵察にいってみた。ちょっと行くとだんだん良い踏み跡になっていき、さらに進むと道といってもいいぐらいのしっかりしたものになって、狙っていた下降路の尾根の方にどんどん近づいて行ってる。コレハイケル!

ということで、沢登りはここで終了にしてこの道を行ってみる事にしました。



770mドラム缶地点到達が12時ぐらい。偵察して戻って脱渓を決めたのが12:15。着替えて歩き始めが12:50。

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その道は斜面をトラバースする水平道で、すぐに尾根の上に乗るかと思っていたら、そのうち尾根と平行になりながら高度を下げていき、730mのコルのところで尾根に乗った。予定では尾根をまっすぐ行くつもりだったが、道は完全に右に降りてる。まっすぐの方向に踏み跡はない。なのでちょっと行ってダメだたら戻るつもりで右に降り始めたら、すぐに道は二股の方向に進んで行くようになった。何も考えずに踏み跡をたどり、最後が急でフィックスが2か所でてきたと思ったら、ドンピシャで二股に降り立った。13:20。
この見事な一本道が、どういう理由でこの二股とあのドラム缶広場を結んでいるのかは全く分からない。ただ、とにかくほとんど偶然にも、全く努力もせずに最高に効率の良い道を発見できてしまったということだ。

ここからは、登りで目星を付けておいた小屋跡の裏の左の尾根状斜面に取付いたところ、予想通り踏まれていて、すぐに東から降りてきてる尾根に乗れた。予定ではここからルンゼを下るつもりだったが、良い踏み跡は見つからず。一方、尾根の上は明らかに人が歩いている感じがするので、尾根を下る。少し下って南に行く尾根に乗り換え、前方が急になってきたところで、右のルンゼに入る水平道に入って、予定のルンゼに戻っていく形になる。

傾斜の緩い下れそうなルンゼに差し掛かったので、そのルンゼを降りていく。ちょっと行くと何やら前方が険悪な雰囲気になってきてどうしようかと思ってたら対岸のきわどい斜面に丸木橋があった。

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一瞬「マジ?」と思うような橋と斜面だが、目的地となる炭焼窯はこのルンゼの左岸にあることは朝の偵察で分かっていたので、この橋を渡って進む。そしたらやたらとフィックスがしてあるつづら折れの道になって、炭焼窯に出た。

あとは滝見物の道を降りるだけ。といっても登山等としてはかなり悪い。上級者向けか。

14:30出合。降り始めてから1時間40分ですが、迷ってる時間を除いた正味で1時間半は切ってるでしょう。3時間弱を半分にすることが出来た。大満足です。もう行かないと思うけど。

ちょっと水浴びしてから林道に上がろうとしたら、大粒の雨がぼたぼたと。早く降りてこれて良かったなー。
あの時、右の台地に上がってドラム缶を見つけてなかったら、あるいはあの怪しい踏み跡を行ってみようと思ってなかったら、今頃まだ山の中にいたんだろうね