錫杖岳 前衛フェース 中央陵P2右岩壁左ルート


2007
1月20〜21日

メンバー:大関、神林

金曜日に突然浜松へ出張となり出発が遅れることを心配したが、何とか予定通り20時に集合し出発。平湯の駐車場に着くと他の車は無し。車内で酒を飲んでいると横浜ナンバーの車が1台入ってきた。翌日5時半起床。いつの間にか自分たち以外の車が3台あり、しかもみんな既に出発しているようだった。朝食とパッキングを済ませて7時前に出発。雪は少ないうえに道は良く踏まれているので夏と変わらない時間で岩小屋着。途中で抜いた3人組は花谷、横山“ジャンボ”、佐藤祐介さんというビッグな面々だった。注文の多い料理店より更に錫杖沢上流から前衛フェース側壁を登るという。岩小屋に結局使わなかったワカンをデポし、トレースを辿って1ルンゼ基部に到着すると松本CMCの佐藤さんと女性の2人パーティがいた。佐藤さんと大関さんとは知り合いらしい。クライミングの世界は狭いねー。ここからはラッセルで中央稜基部へ。左方カンテ取り付き付近で登攀準備は整えておいた。11時少し前に登攀開始

1P神林リード。簡単な雪壁から80度程度の氷が数m。手前でリングボルトとアイススクリューを決めて一気に登る。左右の壁で傾斜を殺せたし氷の状態が良かったので楽だった。しかし次に現れた垂直部は氷が薄い。バイル1振りで崩壊してゆく。氷片を大関さんに当ててしまったらしい。済みません。直上を諦めて左へ大きく雪壁を巻いて残置のビレイ点に到着するが、ここを通過し狭いチムニーに入り込み氷壁を登る。ここも氷結が甘くスクリューが決まらない。しかも先ほど大きくルートを迂回したためザイルが異常に重たい。氷壁を7〜8m登りビレイ点到着。RCCボルト1つとリングボルト2つ。そのすぐ横にはリングボルト2つあった。

2P大関リード。狭いチムニーを登るが相変わらず氷結が悪い。チョックストーン下に到着したあとザイルが動かない。ハーケンを打つ音が聞こえたり、大量の雪が落下してくる。何をしているのかな、と思っているとビレイ解除のコール。フォローで登ってゆくとチョックストーン下をくぐって上部へ抜けれそうな隙間が空いているのが分かる。前回中央稜に来たときは全く埋まっていて、下がくぐれるとは気づきもしなかった。先ほどの大量の落雪は大関さんがこれを掘り出すためだったのだ。しかしすごく狭い。空荷でぎりぎりの隙間しかない。

3P神林リード。ビレイループに荷物をぶら下げてくぐろうとするがすごく狭い。氷を割って少しでも幅を広げて体をずり上げるが荷物が引っかかって上がってこない。奮闘してチョックストーン上に出るが、体全体が疲れたためザックを担ぎなおしてリードを続ける気持ちにならず、すごく短いがピッチを切った。

4P大関リード。悪い凹核を登る。傾斜の緩んだ雪壁に這い上がるところでバイルが決まらず吼えていた。体重をかけるとしなる親指程度の太さの潅木にアブミをかけて突破。フォローで登っても結構難しかった。後は傾斜の緩んだ雪壁を登り潅木でビレー。そろそろ暗くなるころなのでP2手前のコルでテントが張れないか、空荷で見てくることにする。

5P神林リード。基本的には簡単な雪壁だが木々に雪が少しのっているだけの箇所もあり、足元が急に崩れてヒヤッとさせられる。コルは両側が切れている上に狭い。十分なセルフビレーも取りづらそう。コル上でのテント泊を諦めて大関さんのところまでクライムダウン。

大関さんと相談。予定よりずっと遅れているので撤退を決める。3回の懸垂下降で取り付きまで降りる。岩小屋に戻ってきたのが20時頃。1ルンゼのパーティが既に眠っていた。その横にテントを張りのんびり夕食と酒。あとは乾いた服、シュラフ、ホッカイロ、夜食のチョコで快適な睡眠。大関さんは寒いようで3時に起きて1度火を付けてテント内を暖めるとともに、テルモスの紅茶を温めなおす。そして再び睡眠。5時過ぎにはさすがに自分も寒かった。隣のパーティは4時ぐらいから起きだして6時過ぎに登攀準備を整えて出発していった。自分たちは7時頃下山開始。ピーカンのなかで大関さんはしきり悔しがっていた。帰り道で花谷さんら3人組とすれちがう。昨日1度下山して、翌朝再び入山してきたようだ。9時過ぎに車に到着し帰名。

2回目の中央稜だったが再び敗退。ルンゼが主となるルートは氷や雪の具合で印象が全く異なることを実感。1回目とは全く別のルートと感じました。しかしこれで大体要領をつかめたと思うのでタクティクスをちゃんと考えて今度は完登してみせます。条件の良い時期が短いのではないかと感じました。厳しくも面白いルートです。

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