錫杖岳前衛フェース 銀河鉄道


2006年10月14日

メンバー:白井(豊川山岳会)、神林

ルート:銀河鉄道

木金で各4時間睡眠の疲れた脳みそをコーヒーで無理やり覚醒させて、ひたすら平湯温泉を目指す。1時ごろ駐車場着。発泡酒を飲んで2時に睡眠して5時に起床。眠い。曇り空ながら雨の予感は無し。6時に駐車場発。錫杖沢出合のテント場には既に4張。空きを見つけてテントを張る。装備を整えて銀河鉄道の取り付きへ。登攀準備をのんびり整えていると、2人組パーティが上がってくる。素早く準備を整えて自分たちよりはやく登りはじめる。上手い。そして早い。この2人組は小野寺さんと佐藤祐介さんだった。どおりで上手い。佐藤さんは、新人時代に白井さんと一度甲斐駒に登ったことがあるらしく世間話。しあわせ未満のフリー化をするとのこと。ピンクポイントでは既に成功していて体感13C。凄い。小野寺―佐藤パーティが1P目を登り切ったところでこちらも9時頃登攀開始。

1P(神林リード):「日本の岩場」のトポの2P分を1ピッチで登る。ロクスノ記事では10Cのピッチ。オンサイト成功。残置は中間部にペツルのみ。あとはカムでプロテクションをとっていく。結構面白いピッチだった。ザイルをFIXして白井さんはユマーリング。ビレイ点はペツル2本。テラスの端に潅木もありバックアップがとれる。佐藤さんたちが13C?のピッチをトライしているため、見物しながら小1時間ほど待つ。

2P(白井リード):佐藤さん達のトライが一段落したところで登攀再開。出だしに小さいカムを2回、次にハーケン連発で凹角を直上の後、右トラバース。あとはフリーでペツル2本のビレイ点へ。エイドの部分をそれほど長くない。フォローはユマーリングではなくA0で登ることにする。そのほうが早いと判断した。なかなか抜けないハーケンが1本あったほかは順調にフォローする。白井さんの話では以前より易しくなっていてAA1グレードとのこと。

3P(神林リード):フィンガーサイズの直上クラックにカムをばっちり効かせる。クラックが途切れてちょっとした棚に立ちこむ。横クラックにエイリアン。今度はさらに細いクラック。浮石が多いので気をつけながらナッツをセット。その上に残置ハーケンが1本。その後、はじめてハーケンを打つがバウンステストで抜けて墜落。予感もなくいきなり抜けた。3回目のトライでようやくバガブーを決めることができた。あとはフリーでペツル2本のビレイポイントへ。浮石が多いので足の置き場に気を使う。白井さんは1本だけあった残置を回収した。これでエイドの2ピッチに残置は1本も無し。すっきりして美しい。

4P(白井リード);4級程度の岩場を直上。残置は無し。プロテクションの取るところは限られる。岩場が途切れたところで草つきに這い上がる。これが悪い。私がリードでなくて良かった。相当に不安定なクライミングを強いられた。足元のカム2発が無ければリードは結構恐怖かも。

5P(神林リード);易しい草付きを右上。踏み跡を辿ると左方カンテのビレイ点へ。残置無し。14時15分頃登攀終了。待ち時間を抜くと4時間強の登攀だった。

小粒なルートながら1P目のフリーも含めてなかなか面白かった。残置も事前に佐藤さんたちがフリー化の際に、ほとんど撤去してくれていてとてもすっきりしていた。「注文の多い料理店」を懸垂下降する。テント場で錫杖を眺めながらのんびり。最高。横山“ジャンボ”さんの赤ジャケットが北沢フェースか錫思杖戯のあたりに確認できた。18時には就寝。これまた最高。

錫杖岳本峰  見張り塔からずっと

2006年10月15日

メンバー:白井(豊川山岳会)、神林

5時起床。熟睡11時間。幸せ。ピーカンのなか6時に出発。先行パーティが1組。リードが2P目を登っている。のんびり準備。7時頃登攀開始。

1P(神林リード):易しいがホールド、スタンスに砂利が多い。先行パーティが使っていたビレイ点を過ぎて更に上へ凹角をいく。50mいっぱいでハーケン4枚程度のビレイ点へ。カムで補強する。ルートはもっと右らしい。

2P(白井リード):ビレイ点から少しクライムダウンして右トラバース。2手ほど少し悪いムーブをこなすと易しいスラブが開ける。

3P(神林リード):開けたスラブ。泥で黒くなっている箇所を避けて大きく左から回り込む。50mいっぱいノープロ。潅木でビレイ。

4P(白井リード):スラブを直上。50mほど伸ばし垂壁手前でカムでビレイ点を作成。

5P(神林リード):正面垂壁はホールド、カムを効かせる箇所ともに豊富そうだがいかんせん岩が脆い。先行パーティは登っていたが、私は気が進まない。右に回りこむと岩は硬くなるがホールドが甘くなりプロテクションは取れない。真剣な数手をこなして右トラバースすると再び開けたスラブ。ノープロで50m伸ばし潅木帯手前でピッチをきる。まともなビレイ点が作れない。頼りない潅木とちょっとしたピナクルに引っ掛けたスリング3本で作成。常に下向きに加重を加えておかないとスリングがすぐ外れそうなのが嫌らしい。

これで中央稜上部に到達。ロープをたたみ、歩いて薄い踏み跡を辿る。稜上から大洞穴の先行パーティが登っているのが良く見える。ちょっとした凹角を登り大洞穴下へ。ここで大休止。大洞穴はこの数日間、晴天が続いたはずなのにびしょびしょ。水が
滴っているので気長に頑張ればここで水が補給可能でしょう。携帯は3本立っている

6P(白井リード):大洞穴左のクラック?をいく。初めは垂直で少し悪い。それから左上。ホールドは豊富で快適。ビレイ点はカムで作成だったかな。残置なし。

7P(神林リード):ビレイ点から凹角を直上。ホールド豊富なうえに岩が硬くて大胆なムーブができる。チョックストーン?に立つと右上するクラックがある。これがトポで10台のクラックとされているクラックだろう。なぜか新型のC4キャメ0.5番が残置されている。ちょっと頑張ったらすぐ外れた。まだピカピカの新品。しかもカラビナ付き。私はクラックを避けて右垂壁をトラバース。多少悪いが、探せばホールドは豊富。ナッツと青エイリアンを垂壁の裂け目にバッチリ決めたらあとは登るのみ。4〜5m程の垂壁を登るとまたまた開けたスラブ。ここはノープロで50mいっぱい伸ばす。本峰フェース直下のテラス直前でピッチを切る。潅木に新しいスリングが残置されていたので、これでビレイ点とする。なおこのスリングは回収した。残置する必然性を感じなかったから。先行パーティは最終ピッチを登っている。青空に突き出た本峰の岩塔と頂上にいるクライマーのシルエットが美しい。

8P(白井リード):スラブを本峰直下の草付き帯目指して右トラバース。50mノープロ。潅木でビレイ。

9P(神林リード):草付きと岩のミックス。草をつかんでがしがし登る。50mノープロ。本峰岩塔基部までは少し足りなかった。カムでビレイ点作成。

10P(白井リード):快適にクラックを登り錫杖頂上に飛び出す。爽快。快晴。穂高連峰が美しい。脇の岩塔上には一般の登山客がいてこちらを見ていた。12時15分登攀終了。5時間強の登攀時間。

少し難しい本ちゃんルートという印象。下部は特にルートファインディングが必要。また残置がほとんど無いのでナチュプロ技術が必須。ビレイ点も自分で作成しなければならない。ランナウトが頻繁にでてくるので注意。
景色を楽しみつつ大休止して下山開始。稜線上は踏み跡が非常に薄い箇所や道が崩壊している箇所などがあった。それでも赤布と踏み跡に導かれ牧南沢を下る。この沢は終始岩がごろごろしていた。中央稜側壁が良く見える。特に上の顕著な大カンテが格好良い。終盤では水が流れ出して、沢下りのようになる。お尻を濡らしてしまって不快。更に下ると昨日登った銀河鉄道のラインが見える、佐藤さんたちがしあわせ未満にトライしているのも見える。1時間半ほどでテント場着。テント撤収して下山。

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