畳岩の頭西尾根 2001年5月2日〜5日 森崎・大関・岩森

飛騨尾根。それは岐阜県側からジャンダルムに一気に突き上げる魅力的な尾根だが、どういう訳か、取り付いてみればB尾根。別名「畳岩の頭西尾根」。

1日

森崎さんの超クールなクライミングカー「あっちゃん」は、荷物満載でも、中で2人寝られる。結婚前だし、身の危険を避けて?か、僕と大関君を車の中で寝かせて下さり、森崎さんは外で眠る。

2日

白出沢は、大量のデブリに埋め尽くされた谷は歩きにくい。歩いていると彼方上に目指すジャンダルムが・・・・・遠い。程なくガスが広がり視界は50メートル程になってしまった。地形図を頼りに、枝谷に入るので、入ったかどうかを、対岸を確認して進んでいく。後はひたすらに高度を稼ぐべく機械と化して腿上げをくり返す。高度計の高度と地形図通りの地形だったので予定通り高度2700メートル程まで進んだ。


そこで谷は急な二俣になっていた。どちらも難しそうで、時間も微妙。しかし、超ナイスなテントサイト発見。そこは岩壁が5メートル程えぐれ、そこに雪が溜り屋根付きの安定したテラスとなっていた。おまけにすぐ横の氷柱からは北アルプスの天然水が飲み放題。幕営決定。やがて雪が舞い始め。酔っぱらってきた頃には登るのをためらう程岩が白くなってきていた。

3日

相変わらず雪は続き、明け方頃より左右のルンゼが雪崩始め、昼頃、超デカイのが2発行ったら静かになった。

立山で先生にしかられた大関君は、よほど堪えたらしく、手足のある蛭に喰われる夢を見てうなされていた。

この日は沈殿だったので、眠って起きて、馬鹿話をして酒を尽きるまで飲んで、また眠るという一日でした。

4日

快適なテントサイトと別れ、いよいよ登攀開始。少し下り、左のルンゼを上がることにした。正面の笠ガ岳が印象的だった。

ルンゼは、正面に3メートル程の氷の架かった滝があり、卷くにも横は逆層の岩で悪そう。森崎さんは自作ピッケル「モリタックス」とバイルという構成で滝に挑戦。しかし、タイオフした氷柱が折れてフォール。側壁に軟鉄を打って越える。すでに「モリタックス」は首がくたくたになっていた・・・。

 滝を越えると再びルンゼ状を上がり程なくリッジに。

 しかし・・左を見るとジャンダルムが・・・・!(P)。僕らはB尾根に取り付いていた。登山体系にも3行しか載っていない超マイナーなルート。せめてもの救いか、「畳岩の頭西尾根」というましな名前があったことだ。

 全然残置が無く(錆びたハーケン1本発見)、カムと岩にかけたスリングでプロテクションを取って行く。途中にA1のピッチもあり、マイナーなルートみたいだけど面白かった。

 またいで進むような細いリッジ上でも、写真家は安定した場所でピッチを切るのでは無く、カメラアングルの良い所で切るのが常識らしいです・・。

 終盤は一旦ルンゼに下りて直上し、聖地穂高の主稜線に。

 ジャンダルムの頭からシングルの懸垂1回。ロバのミミから1回。シングルで足りると思ったが足りず、ダブルでやり直す。

 コルから奥穂への登りは、急そうに見えていたが難なく登り、背後のジャンダルムは格好良く、早々に写真屋は廃業していたのに、思わずカメラに収める(P)

最後に、さっさと歩いてしまうのがもったいない細い雪のリッジ(P)を歩いて奥穂高岳に到着。去るのが惜しいが、白出のコルに。

5日

朝早くから穂高上空を熱気球が気持ちよさそうに飛んでいた。穏やかな春日和だ。

聖地穂高を背に、白出沢を一気に下る。ジャンダルムが再び遠くなっていく。

記)岩森