高知のクラック天国 大堂(おおどう)海岸

2000.12.28-2001. 1. 3 Hiromi & Shinichi Izuchi

南風 5.7

 ずっと昔から気になっていた大堂海岸にやっと行く事が出来た。

 大堂は、結晶の荒い花崗岩系の岩を無数のクラックが断ち割っている美しいシークリフ。クラッククライマーにとっては間違いなく冬のパラダイスといえるが、スポーツクライミングしかしない人が大挙してやってくることはまずないだろう。だから混み合うことは有り得ない。美味い魚、暖かい日だまり、静かな正月クライミング…。絶対にはまります。

 参考までに、今回滞在中に出会った人たちは、名古屋のKUSAKABEさん+東京のHIRASAWAさん、広島の両粂さんたち、三重の加田さんや後藤さんたち、「やくたも」のももちゃんたち、という具合になんか知ってる人たちばっかり。やっぱクラックって世界が狭いのかなあ。

 おーい、冬山に行かない皆さん!来年は大堂に行こうよ! 

エリアの紹介

モンキーエリア

 ルートがまとまっており、アプローチも恐くないので一番人気のエリア。まずは、ここからスタートしよう。アプローチはすごくはっきりしてるので、少しでも怪しければ、間違っていると思った方が良い。 3つ星の「スーパークラック」5.9 は、すっきりしてるけど、ちょっと単調すぎるか。「岡山ルート」5.10c は、何とか一撃できたが、相当きびしく、面白かった。「ビッグウェーブ」5.10も好ルート。ただし、フォローが必要。「モンキールーフ」5.10aもなかなか。

モンキーエリア(登っているのはスーパークラック)

ハーバーエリア

 ハーバーのメインエリアは、あんまり登るルートはない。三ツ星の「大ルーフ」11c はちょっとマニアックすぎる感じで、触る気にならず。西のどん詰まりまで歩いていくと、10台が二本。どちらもなかなか良い。「アップダウンクイズ」5.10cは、取付く瞬間がたまらない。「レイバック」5.10bともに、終了点がないので注意。下降は確保した方がいいだろう。

帰れずエリア

 今回一番良かったエリア。あらかじめ満潮、干潮の時間を頭に入れておかないと、冗談抜きで帰れなくなるので注意。「南風」5.7(一番上の写真)はこのグレードにしてはとても面白かった。「熱風セレナーデ」5.10aは、上部のハング越えが素晴らしいが、終了点がないので、隣のルートの終了点まで移動してから下降。(これが結構大変だ。) 「イースター」2ピッチ目 5.10d は、2回やっても登れなくて悔しい思いをした。「モンゴサンタマリア」5.11はちょっと恐くてやらなかった。(広島の両粂さんの登りを見ただけで満足した。)来年はやろっかな。


「モンゴサンタマリア」の両粂さん

「イースター」

お座敷エリア

巨大なボルダーをいくつも踏み越えていくと、突然「お座敷」が現れる。昼寝には一番のエリアだろう。短いが面白いルート&TRプロブレムが何本かあります。

東のエリアpart2

ルート図を下さった、KUSAKABEさんたちが、アプローチを発見し、開拓した前傾クラックエリア。だが、以前に他の人が登ってるという噂もあるため、ルートにはまだ名前が付いていない。アプローチは、かなりややこしく恐ろしいので、初めての人は誰かに連れていってもらおう。取付きには懸垂で降りる。帰りは、荷物を背負って10a を登りたくなければ、ユマールが必要になる。うすかぶりのフィスト」10d は、「オンサイトしたのは、多分あんたが初めてや」と言われ、大喜び。  5.11 のハンドもかぶりがきつく面白かった。右の方にある10aは、我々のいった前日に初登されたとのこと。第2登させていただいた。他にも、全く掃除無しで初登できそうなラインがある。

「うすかぶりのフィスト」5.10d

最果てのエリア

 ここには、大堂でも最高のルートという噂の「シークレットエイジェントマン」5.11a があり是非行きたかったが、その日は潮が高く、取付きのテラスが水中になっていてダメだった。取付きまで70mの懸垂。70mロープがなければ(普通はそんなもん持ってない)、二本つないでFIXする。帰りはユマーリングでしか帰れない。懸垂で結び目を通過するなど、本格的な壁の技術を要するエリアだ。アプローチは、初見では絶対に分からない。かなり危険なので注意する事。

その他のアドバイス(AKA 大きなお世話)

 結晶が荒いので、普段以上に厳重にテープを巻かないと、連日のクライミングには絶えられない。現地でテープの入手は不可能。終了点に何もないルートもあるので、ギアやスリングを多めに持つなど、そのつもりで取付こう。

 設備の整った大月エコロジーキャンプ場は、1サイト3000円と高価だが、2〜3張りは張れるので、人数がまとまれば良いだろう。各サイトに電源が有るので、炊飯器、ホットプレート、こたつなどなんでもOK。このキャンプ場以外にも無料でテントを張って良いところが何ヶ所かあるが、管理人とかは居ないし、「その辺に張ってる」って感じなので、貴重品には注意が必要だろう。

 大月の街の方には2件小さいスーパーがあり、海産物は新鮮なものが地元プライスで買える。それ以外の品揃え(パン等)はあまり良くない。魚を選んで頼むと刺し身にしてくれる。また、切り身やいか、うるめの干物も美味いので、焼き網は必ず持っていこう。「じゃこ天」という練り物も美味くて、カルシウムが豊富なので毎日食べたい。「とんごろ」とか言うサヨリみたいな魚の刺し身は、小骨が多く、癖がある。お勧めしない。スーパーは、元旦と2日は休み。

 ちょっと南にいくとコンビニ風の店があって、酒、冷凍肉など一通り売ってる。ここは1月2日から営業。パンなどは、賞味期限をチェックしてから買う事。

 風呂は、エコロジーキャンプ場のすぐ近くのホテルで入れる。タオル付でたしか525円ぐらい。待合室に100円入れなくても動く「肩もみ機」があって重宝するが、一台しかないので、けんかしないように。

 海岸の近くの集落に、土佐名物の「皿鉢(さはち)料理」の看板をだしてる店があるが、皿鉢料理は要予約。普通の定食は食べられる。「えっ、さらはち料理は無いの〜?」などと言ってると恥ずかしいので注意。

  管理人注:正しくは『さぁーち』と発音します。

 地酒は、酔鯨(すいげい)、土佐鶴(とさづる)、司牡丹(つかさぼたん)など。


3枚1000円